2005 Fiscal Year Annual Research Report
冬期における湿度・気流の違いが入浴後の生理心理反応に及ぼす影響
Project/Area Number |
17791591
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
橋口 暢子 九州大学, 大学院芸術工学研究院, 特任助手 (80264167)
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Keywords | 気流 / 湿度 / 入浴 / 皮膚水分量 / 経皮水分蒸散量 / 体温 / 主観申告 |
Research Abstract |
「目的・方法」本研究は、温熱環境の構成要因である湿度と気流が、入浴後の生体へどのような影響を及ぼすかについて、特に皮膚性状を中心とした生理反応や、不快感、乾燥感を中心とした心理反応の双方から検討し、看護の対象者をとりまく適切な住宅温熱環境についての基礎資料を得ることを目的とした。そこで、本年度は、被験者を健康な男子大学生8名とし、冬期のエアコン暖房使用時の環境を想定した(湿度20%、気流0.6m/s、室温25℃)環境に、一定の手順で入浴した後、80分間椅座位にて滞在してもらい、それと、入浴をしない状況で同じ温熱環境に滞在した場合と比較することで、入浴後の生理心理反応に及ぼす特徴を明らかにした。測定項目は、皮膚温、直腸温、血圧・脈拍、皮膚水分量、経皮水分蒸散量、皮脂量、体重、主観申告(温冷感、不快感、湿度感、気流感、顔・目の乾燥感)である。被験者の基本衣服は、短パン、半袖Tシャツ、スウェット上下である。 「結果」同じ環境条件の暴露でも、入浴後の場合、直腸温、および平均皮膚温の低下が大きく、皮膚温においては条件間に有意差も認められた。入浴による体温上昇により皮膚末梢血管の拡張が促進され、放熱が進んだ結果であると考える。また、皮膚性状への影響についても、皮膚水分量、蒸散量で評価すると、入浴後の方が水分量が低下し、蒸散量が上昇することから皮膚の乾燥が助長されやすいことが示された。また、自覚症状としても顔と目の乾燥は、入浴有り無し条件間に有意差があり、入浴後の方が乾燥の自覚が強かった。 「結論」以上のことから、エアコン暖房運転中の居室内環境を想定した気流速度が速く、低湿度の環境は、体温調節反応に及ぼす負担や、皮膚の乾燥に対する影響が、入浴後であれば特に大きくなることが示唆された。
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