2005 Fiscal Year Annual Research Report
中小規模病院の電子カルテ導入における看護支援システムの問題および実態調査
Project/Area Number |
17791599
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
前川 泰子 大阪府立大学, 看護学部, 助手 (60353033)
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Keywords | 電子カルテ / 看護支援システム / 中小規模病院 / 実態 |
Research Abstract |
情報の電子化・システム化に伴い、医療現場でのコンピュータシステムの導入が増え続けている。大阪府下の一般病院、数施設において電子カルテ導入後の評価など、すでに調査をする中で特に看護に関しては電子カルテのメリット・デメリットなどが十分理解されないまま使われている現状があった。無駄を省き、よりよい医療・看護を格差なく、幅広く患者に提供するためには、中小規模病院においての普及が将来的に不可欠である。大規模病院だけが電子カルテを導入しシステム化を進めても、地域のかかりつけ医と共有できなければ患者へのメリットは少ないからである。今年度は、中小規模病院が抱えている問題・課題を明らかにすることを目的とし、パッケージ化されたノンカスタマイズの電子カルテ導入後1年が経過した大阪府下の一般総合病院において、システムに少し慣れてきた段階で、看護職全員に対してアンケート調査を行った。内容は主に電子カルテ導入前後における業務の変化についてである。その結果、『記録の効率化』『職種間の情報伝達の迅速性』『職種間の情報伝達の正確性』『看護計画の立案』については、5割以上の者が電子カルテ導入の効果を感じているのに対し『患者とのコミュニケーション』『看護業務実施記録のもれ』『残業時間』については悪くなったと感じている者が比較的多いことがわかった。『患者とのコミュニケーション』に関しては、新システムの導入でベッドサイドまでPCを携え、簡単な記録はそこで行うため、その操作に慣れるまでは意識がPCに傾き、患者だけに集中できなかった思いが生じていたり、『看護業務実施記録のもれ』『残業時間』に関しては、「パソコン台数の不足」や「バッテリー消費の早さ」、また電子カルテの「操作画面の煩雑さ」を指摘するものもあった。対象となった病院のPC台数は、日勤帯の看護師数を確保している。しかし勤務交替時など一時的に看護師数が増加する時間帯にPC台数不足を感じたり、PCの落下などによる故障で、修理を必要とする期間が度々あった。そういった状況から記録が後回しになり、実施記録のもれにつながったと考えられる。残業時間については、システムの変化に慣れるのに時間を要したことや、パソコン台数の不足により記録時間待ちの状況があったことなどの実態が明らかになった。
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Research Products
(1 results)