2008 Fiscal Year Annual Research Report
医療組織の組織文化とアウトカムの関連を測定するツールの開発
Project/Area Number |
17791601
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
ウィリアムソン 彰子 University of Hyogo, 看護学部, 助教 (40382262)
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Keywords | 組織文化の創造 / 組織文化の継承 / 組織文化と社会からの評価 |
Research Abstract |
平成18〜19年度に開発した「組織文化を測定するための質問紙」を用いて組織文化の定量測定に協力いただいた施設の中から、組織員の面接調査を依頼した。組織員の面接を通じて、組織文化の成因とそれを継承してきた要因の探究を試みた。 データ収集は、平成18〜19年に定量分析を実施した4施設の責任者に面接調査の依頼をし、了解の得られた施設の成因に「面接調査の協力依頼」を配布した。面接への協力を自主的に申し出てもらうよう返信用封筒を添付し、返信の得られた中から、所属部署、勤務年数、職位が偏らないように配慮し、13名に面接を実施した。 面接では、定量分析で明らかとなった組織文化について説明し、第一因子から順に、「どのような感想を持ったか」「その文化を感じるようなエピソード」「自分はその文化に馴染んでいると思うか」について語ってもらった。最後には、「その文化を創造したのは誰か」についての考えを尋ねた。 組織文化の創造については、基礎教育における経験が多く語られた。現在の組織員で価値観が変わったと感じる世代についても、その組織が学生寮を廃止した時期に符号する.かつての寮生活の様子、先輩と後輩の関係、教員の存在感、などが組織文化の創造に大きく影響している。組織員はその文化を心地よく感じており、基礎教育の変化により、その文化の継承が途絶えることを懸念している。 組織文化の継承については、組織員の教育背景が変化しており、様々な教育背景を有する者が参入するようになり、基礎教育において伝統的な組織文化の継承の機会をもたない者にとっては、受け入れ難い価値観が存在している。 しかし、協力組織が社会的に評価を受けているアウトカムに関係していると思われる組織文化は、継承しなければアウトカムに負の影響が生じると予測している. 組織員はその点を認識しており、社会的から受けている評価を維持するために大切な価値観を共有していた。
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