2006 Fiscal Year Annual Research Report
腰背部蒸しタオル温罨法ケアと自律神経活動及び主観的快さの関連
Project/Area Number |
17791605
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
江上 京里 東京女子医科大学, 看護学部, 助手 (70385467)
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Keywords | 腰背部温罨法 / 快不快 / 自律神経活動 |
Research Abstract |
【研究の概要】 健康な被験者に計算作業負荷を与え、負荷後に腰背部に蒸しタオルを貼用する(以下腰背部温罨法と記す)群と、負荷後は安静を保つ群の2群に分け、腰背部温罨法を実施することによって生じる主観的な快さが、負荷からの回復過程においてどのような自律神経活動を伴うのかを明らかにするために、皮膚電気活動、皮膚温、心拍変動解析、主観的な快さ(質問紙)で測定した。 対象者は、男性2名、女性12名、年齢は平均19歳であった。実験群と対照群は同一対象者で行うため、各対象者は実験に2度ずつ参加の協力を得た。 【結果】 実験群と対照群の比較で有意差のみられた尺度は手掌部と足背部の皮膚温で、腰背部温罨法を行うことで実験群は対照群よりも皮膚温が上昇した(paired-t検定)。全身の皮膚温を表す平均皮膚温は、対照群は計算負荷後の安静状態で基準値よりも有意に低下したのに比べ、実験群は同様に低下するもののその低下は基準値付近にとどまった。 交感神経活動を示す心拍変動解析のLF/HF成分は、計算負荷後、対照群は実験群に比べて有意に増加した。 主観的快については、実験群は対照群に比べて腰背部温罨法によって有意に快が増加し、主観的な覚醒度は、実験群のほうが腰背部温罨法中に有意に眠気が強かった。 【考察】 腰背部温罨法は手掌部や足背部のような末梢の皮膚温を上昇させることが示唆された。この部位は、動静脈吻合が発達しており、体温調節に関わりがあるため、腰背部温罨法の熱刺激に対する体温調節反応として考えられる。計算負荷後に、対照群の交感神経が有意に高いのは、計算後に腰背部温罨法で有意に主観的な快を得られた実験群と比べ、対照群は計算による負荷が持続、もしくは回復の遅延があったためと考えられる。また、実験群が対照群に比べてより主観的快が高く、眠気が強かったことは、対照群のほうが交感神経活動が亢進していたことと一致する。
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