Research Abstract |
研究目的:化学療法をうけるがん患者の主観的評価を重視した味覚障害評価スケールの開発を目的に,18年度完成の暫定版質問紙について信頼性と妥当性を検討した。 研究方法:大学病院およびがん専門病院で外来通院により化学療法を受け,味覚障害を自覚しているがん患者を対象とした。「味覚変化」,「口腔機能」,「食欲低下・嘔気・ニオイへの不快感」,「身体的問題」,「精神的問題」,「社会的問題」,「対処能力」,「サポート体制」,「全体的満足度」の9カテゴリ(次元)62項目からなる暫定版質問紙による調査を行い,信頼性と妥当性の検討を行った。 結果:調査票配布72に対し,66部回収した(回収率91.7%).回答困難や質問意図に対する疑問を指摘された項目はなく,全体で数件見られた未記入項目はおもに単純な記載ミスと考えられた。当初,9カテゴリを想定していたが,「味覚変化のタイプ」,「生活上の困り事」,「味覚変化に対する対処状況」,「総合評価」の4カテゴリに収束した。考察:回収率,回答率とも極めて高く,本スケールの実行可能性が確認できた。「味覚変化のタイプ」,「生活上の困り事」,「味覚変化に対する対処状況」などのカテゴリにより,プロファイル型評価尺度として有用性が支持された。臨床への活用として,「味覚変化のタイプ」について項目得点をレーダーチャートで示し,他のカテゴリは該当項目を抽出表示した評価結果をA4版書式1枚で患者にフィードバックし,生活指導に使用することができた。今後は本スケールを用い,化学療法患者の味覚障害および生活への影響軽減に向けた看護プログラムの開発を今後4年計画で行う予定である。 また,調査面談を通して,多くの患者から,味覚変化症状の特徴や食事の工夫などについて様々な情報を得ることができた。これらの知見については,患者向け雑誌やHPなどで公開予定である。
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