2005 Fiscal Year Annual Research Report
感覚刺激を活用したリラクセーション技法(呼吸法)の効果に関する研究
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17791612
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
柳 奈津子 群馬大学, 医学部, 講師 (00292615)
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Keywords | 感覚環境調整 / 呼吸法 / リラクセーション / 脳波 / 心拍変動 / 皮膚温 / POMS / 看護 |
Research Abstract |
本研究の目的は、感覚(視覚、聴覚、嗅覚)を刺激してリラックスするための環境を整えた中で呼吸法を用いることにより、より一層リラックス反応が高まることを検証することである。 本年度は、健常成人に対する基礎研究を行った。感覚刺激と呼吸法を併用した実験群(30名)、呼吸法のみの対照群(30名)を対象とし、生理的指標として脳波、心拍変動、血圧、皮膚温、主観的指標として感情プロフィール尺度(精神的リラックス反応の評価)を実施前後に測定した。環境の調整方法は、人工気候室にて温度・湿度を一定とした上で、自然環境の映像(視覚)、それに伴う自然音(聴覚)、樹木の香り(嗅覚)を用いて行った。実施する呼吸法は、呼気を吸気の2倍の長さで行う腹式呼吸とした。 すべての指標において、両群ともに同様の変化を示し、群間比較による有意差は認められなかった。両群において実施中にα波とβ波は増加傾向を示し、実施後はθ波が増加した。しかし、実験群では、測定したすべての部位においてθ波の増幅が大きく、C_3、P_3、O_1において有意差が認められた。心拍変動と血圧は、両群ともに実施前後での変化はほとんどなかった。皮膚温は、両群ともに実施前に比べ実施中、実施後に有意に上昇した。POMSは、両群ともに「活気」以外は有意に減少した。 以上から両群ともに実施した呼吸法によってリラックス反応が引き起こされたと考えられる。環境を調整したことによる影響としては、θ波の結果から呼吸法を単独で実施するよりも、より眠気を導く可能性があることが示唆された。また、実施後の自由記述から「映像があった方がリラックスできる」「環境に適した香りで心地よい」などの反応もあり、今後、さらに検証し、療養環境において環境を整えることの重要性を明らかにしたい。
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