2005 Fiscal Year Annual Research Report
ICU看護師の視覚・触覚情報の取り込みと臨床判断への活用プロセス
Project/Area Number |
17791613
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
荒井 真紀子 群馬大学, 医学部, 助手 (30361364)
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Keywords | 看護情報 / 臨床判断 / ICU看護師 / 看護ケア |
Research Abstract |
視覚・聴覚的に提示された連続性のない断片的な看護情報を看護師がどのように記憶し、再生するのかを、看護情報の記憶・再生調査により明らかにすることを目的とし、関東地方の2施設のICUに勤務する看護師43名を対象とした記憶・再生調査を行った。その結果以下の知見を得た。対象者の用語再生数は平均15.43±3.25語であり、年齢、経験年数による有意差はなかった。用語再生率は平均51.3±17.8%であり、90.7%〜20.9%とばらつきがあり、70%以上にはICUに関連した「気管吸引」、「口腔吸引」、「心マッサージ」と、一般看護用語の「全身清拭」があり、再生率30%以下には病態、症状を示す「疼痛」、「不整脈」、「不穏」があった。用語位置による用語再生率のグラフパターンは、前半または後半に提示された用語が中央で提示された用語の再生率より高い「生理的パターン」23名(53.5%)と、その逆の「非生理的パターン」20名(46.5%)に分類できた。2つのパターンには属性、記憶理由数、用語再生数に有意差はなかった。記憶の理由には36の理由が選択された。一人あたりの選択数は7.53±2.47個であり、属性による差はなかった。選択率の高い理由は「何となく思い出した」65.1%、「自分のすべき業務を思い浮かべた」62.8%、「看護ケアの場面が思い浮かんだ」51.2%であった。記憶理由を映像の有無で分類すると、40名(93.0%)が両方の理由を選択した。このうち動きを伴った映像は14名(33.3%)、伴わない映像は2名(4.8%)が選択し、26名(61.9%)は動きのあった映像となかった映像の両方を選択した。ICU看護師の記憶再生の特徴は、年齢、経験年数などの属性や、記憶理由、記憶方法に関わらず、看護情報に対して約半数が通常の記憶パターンに依存しない「非生理的パターン」を示し、ICUに関連した用語の再生率が高いことが明らかになった。
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