2006 Fiscal Year Annual Research Report
臓器提供における意思決定に関する研究〜家族の意思決定を支える看護実践能力の検討〜
Project/Area Number |
17791620
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
三浦 清世美 中部大学, 生命健康科学部, 助教授 (20332695)
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Keywords | 臓器移植 / 臓器提供意思 / focus group interview |
Research Abstract |
【調査1】 臓器移植と臓器提供に関する認識とその影響要因を明らかにすることを目的に質問紙調査を行った。対象は成人男性15名,女性14名であった。22名(回収率86.2%)から返信があり,分析した結果,属性と人生の目的や生きがいとの有意な関連性は見いだせなかった。臓器提供に関する知識は,男性よりも女性の方が有意に低下していた。新たな影響要因の探索が課題であり,臓器提供に関する知識の普及の必要性が示唆された。 【調査2】 調査1の結果,臓器移植・臓器提供に関する認識と人生の目的や生きがいとの関連性が見いだせなかったため,臓器提供意思に及ぼしている影響を探索する目的でfocus group interviewを行った。対象は,高校生3名,一般大学生1名,看護学生2名であった。参加者の希望により録音を行わなかったため,参加者がボードに書いたメモと面接者のフィールドノートの内容を分析した。6名全員が高校または大学で臓器移植に関する講義を受けていた。幼い頃から生と死に関する教育は受けていたが,話し合った経験は1名のみであり,他人の意見を聴き考える機会が非常に少ないことがうかがえた。また,臓器移植や臓器提供に関する考えが変化するきっかけとして共通していたのは身近な人の死であった。3名が臓器を提供したくないと述べており,その理由の共通点は,身内の死に関わる医療者への不満であった。植物状態になった時に死を選択するかどうか聞いたところ,「自分は死を選択」するが,「家族には生きていてほしい」という意見が多く,自分自身と家族に対する尊厳死への意識の違いが明らかとなった。今回の結果を踏まえ,脳死・臓器移植に関する態度(知識・意識・行動)の項目,「死に関する態度」項目を追加し,質問紙の改良を行う。
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