2007 Fiscal Year Annual Research Report
演劇製作を用いた家族システム学習の効果の検証および日本型学習モデルの構築
Project/Area Number |
17791627
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
小林 奈美 Kagoshima University, 医学部, 教授 (90311406)
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Keywords | 看護学 / 家族看護学 / 家族システム / 学習モデル / 演劇 |
Research Abstract |
本年度は、以下の課題について成果を得た。 (1)家族看護学教育の実際:大学、短大、専門学校における家族看護学教育の内容と手法について教員を対象にアンケート調査を行った結果を分析したところ、家族看護を専門にする教員が担当する割合は、専門学校5%、短大11%、大学37%と大きな差があり、教育手法としてグループワークは大学が多く(61%)、ロールプレイは短大(60%)、大学(70%)であった。家族劇の制作は短大(15%)で多く実施されていた。 (2)家族システムの学習効果の検証:学部生を対象にした量的調査については、予備調査の段階で学習効果については個人差が大きいこと、それが学生個人の家族体験に由来する可能性が示唆された。そこで前後評価を行うのではなく、その点について家族看護教育に携わる教員にアンケート調査を実施した。その結果、家族関係への興味、家族の多様性の受容、学生の人間的成熟度、家族背景の学習への影響をいずれも多く支持したのは、短大の教員であり、専門学校の教員は皆無、大学教員は家族関係への興味と多様性の受容のみであった。一方、大学院生を対象に演劇制作をとおした家族システム学習による自己変容について、各人のリフレクションレポートとグループインタビューを行った結果、いずれも家族の見方の変化を挙げたが、家族の苦悩に迫ることはできなかったと語った。 (3)演劇分析による学習効果の分析:録画した演劇を逐語で起こし、作成されたジェノグラム、エコマップと録画を再生しながら、会話表現として表現される二者関係を分析していくことでコアビリーフの同定が可能かどうか、確認の作業を行っている。予備調査では、演劇制作だけでは、コアビリーフに迫ることは難しいということが示唆されているため、さらにその点を学習モデル化する仮説構築に向けた分析をしているところである。
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