Research Abstract |
本研究の目的は,女性外来における看護職の役割と他職種・他機関との連携について,現状の把握と分析を行い,今後の課題を明確にすることである。これまで,女性外来5施設において,医師5名と看護職8名を対象に半構成的なインタビュー調査を行った。これらから,看護職は自律的にその専門性を発揮する必要があり,そのためには自身の役割を明確に認識すること,また他職種との連携には互いの役割・機能を理解する必要性が認められた。 平成18年度は,インタビュー調査で得られた結果をもとに質問紙の調査項目を作成し,全国の女性外来における看護職を対象として郵送による自記式質問紙調査を実施した。看護職が自律的に専門性を発揮するための要因を明らかにする目的で,「看護婦の自律性尺度」(菊池・原田)を用いて,看護業務の実際と自律性との関連を分析した。質問紙回収数は129通,分析対象は自律性尺度に全て回答が得られた113名とした。対象の属性は,平均年齢43.0±9.6歳,看護職としての平均経験年数19.1±9.2年で,従事免許の種類は看護師96(85.0%),助産師11(9.7%),准看護師6(5.3%)であった。看護職としての経験年数と自律性尺度合計点との間には正の相関がみられた。業務形態別にみると,専任は兼任と比して実践能力において有意に高値群が多かった。さらに,保健指導の実施状況との関連について分析すると,保健指導を実施している看護職は自立的判断能力以外の4下位尺度で有意に高値であった。医師との連携がとれているものでは,具体的判断能力・抽象的判断能力で高値を示していた。これらから,女性外来における看護職の自往性に関連する要因は,看護職としての経験年数専任であること,院内の医師との連携が重要であることが認められた。また,VASで測定した女性外来に携わる"やりがい"感と自律性尺度の合計点との間には正の相関がみられた。 本調査から,女性外来における看護職が適切な看護を状況に応じて判断する専門性の発揮には,責任ある立場で医師との連携が図れる体制が重要であり,自律性の発揮によって保健指導等の独自の実践ができ,更に"やりがい"に繋がると考えられた。
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