2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性疾患をもつ人々のセルフケア能力を高める看護実践の検討
Project/Area Number |
17791659
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Research Institution | Japanese Red Cross College of Nursing |
Principal Investigator |
本庄 恵子 日本赤十字看護大学, 看護学部, 助教授 (70318872)
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Keywords | 慢性疾患 / セルフケア能力 / 看護実践 / 質問紙 / 信頼性と妥当性 |
Research Abstract |
平成18年度は、「セルフケア能力を査定する質問紙(Selfcare Agency Questionnaire、以下、SCAQ)改訂版の信頼性と妥当性を検討する調査」を継続して実施し、その結果を分析してまとめた。SCAQ改訂版は、「健康管理への関心」「健康管理方法の選択」「体調の調整」「健康管理法の継続」「支援の活用」という5つの下位尺度をもつ30項目の質問紙である。関東地方にある3施設において、241名の看護師に調査用紙を配布した。看護師と受け持ち患者の両者の同意が得られた場合に、看護師と受け持ち患者に共にSCAQ改訂版に回答してもらい、返送してもらった。回収数は59部であった(回収率24.5%)。SCAQ改訂版の信頼性は、内的整合性を示すCronbach's αを算出して検討した。Cronbach's αは、下位尺度では.75から.86であり、質問紙全体では.93であり、信頼性が支持された。妥当性に関しては、質問項目7項目に無回答者があったが、いずれも1〜2名と少なく、大きな問題は認められなかった。「質問内容がわかりやすくて、答えやすい」という意見があった一方で、「質問の言葉が難しい」という意見もあり、今後洗練を行う必要性が示唆された。SCAQの理解を増すように研究者と実践家が協働する必要性も示唆され、各質問項目に関連する具体例などを実践家と研究者が検討し、事例を積み重ねていく必要があると考えられた。 また、平成18年度は、SCAQを使用したことがある看護師や研究者との研究会を開催し、セルフケア能力を高める看護援助について検討した。さらに、国内外の関連文献の検討を行った。その結果、SCAQ改訂版を看護師と患者が共に使用することは、互いの理解を深めてセルフケア能力を高める看護実践の一方法となると推察され、その看護実践案を作成した。平成19年度は、この「慢性疾患をもつ人々のセルフケア能力を高める看護実践案」の効果を検討する調査を実施し、まとめを行う予定である。
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