2007 Fiscal Year Annual Research Report
在宅統合失調症者の家族の健康への力を支える看護援助モデルの構築
Project/Area Number |
17791674
|
Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
水野 恵理子 University of Yamanashi, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (40327979)
|
Keywords | 統合失調症 / 家族 / 健康への力 / ストレス対処能力(SOC) / 生活の質(QOL) |
Research Abstract |
本研究の目的は,在宅統合失調症者の家族のストレス対処能力(SOC)と生活の質(QOL)の特性を明らかにし,家族の健康への力を支える看護援助について検討することである。平成17年〜18年の期間,34名の家族を対象にWHOQOL-26とSOC-13への回答,発症当時から現在までの症状,日常生活の様子,統合失調症者を家族内に抱えたことにより生じた思いや言動について半構成的面接を行った。今年度は,QOLとSOCの得点について,続柄や性別などの属性による違いを詳細に分析するとともに,面接内容について質的に分析した。その結果,特に夫(父親)が病気を受け入れようとしているか否かで母親の負担感の程度が異なり,夫を含む他の家族員が病気を理解し協力的でいることによって,その負担感や将来に対する不安が異なることが推察された。また,統合失調症者に対する家族の態度と感情は,家族間の関係性により変化していた。さらに,女性のほうが男性に比べてSOCの3要素の一つである有意味感(例えば,"統合失調症者を抱えながら人生を送っていることは価値があると思える"感覚)は高くなっていた。尚,今年度の結果の一部は,2008年9月に開催される第12回World Congress of Psychiatryにて発表予定である。 以上より,家族の性別・年齢層・続柄によるSOCとQOLの特徴,病者や病気に対する思いは多様であり,それらは家族間の関係性に影響されやすいことが明らかになった。今後,地域における統合失調症者の家族個々の力を引き出すための具体的支援について検討することが課題となった。
|