2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の転倒発生における視知覚と姿勢制御と下肢筋力との関連
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17791675
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
江藤 真紀 名古屋大学, 医学部, 助手 (30295167)
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Keywords | 転倒 / 高齢者 / 姿勢制御 / 下肢筋力 |
Research Abstract |
研究者のこれまでの研究結果からADLが自立している地域の高齢者の転倒発生は、視知覚と姿勢制御が関連していることが分かってきている。高齢者にとって視覚的フィードバック(身体移動にともなう視野の変化を自己の体動によって補正する能力)の劣化が姿勢制御にマイナスの影響を与えていることを指示しているものと考える。このことから、高齢者の転倒発生は視覚情報が不正確に知覚されているか、あるいはその知覚情報が入力された後の情報処理の過程でなんらかの問題が生じ、姿勢制御への円滑な連動がなされていないために起こっている可能性が示唆される。言い換えれば、高齢者は若年者に比べて変化のある視覚情報を知覚してから、自己の体動により姿勢を補正し、安定した二足立位保持ができるまでに何らかの原因で時間がかかりすぎるために転倒しているのではなかという予測に基づいている。これを立証するためには、安定した二足立位保持の条件となる下肢筋力についても検討する必要性が生じてくる。従来、地域看護学領域で実施される調査等では、器材の簡易性や被験者への安全性から下肢筋力の測定は実施不可能とされることが多かった。しかし近年、筋力測定装置の開発が進み、簡易でかつ客観的で安全に下肢筋力の測定が可能となってきている。そこで本研究では、この簡易の下肢筋力測定装置を用い、転倒を発生させている要因である視知覚と姿勢制御との関連性をさらに具体化させるために、姿勢制御を左右すると考える下肢筋力という変数を加える。今年度はこの簡易の下肢筋力測定装置を用いて少人数の若年者を対象とし、データの客観性・安全性・再現性について確認した。次年度は、この簡易の下肢筋力測定装置を用いて、地域で生活をしている高齢者を対象にした小規模な調査の実施を計画している。
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