2007 Fiscal Year Annual Research Report
老人保健施設における痴呆高齢者に対するDT活動としての園芸療法の効果と評価の研究
Project/Area Number |
17791680
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
寺岡 佐和 Hiroshima University, 大学院・保健学研究科, 助教 (60325165)
|
Keywords | DT活動 / 園芸療法 / 認知症高齢者 / 老人保健施設 |
Research Abstract |
今年度は、園芸療法で実施した活動を細分化し、それぞれが認知症高齢者にもたらした効果について検討することを目的とした。活動は、土や植物に触れる内容で16回、今後の活動についての話し合いと施設内に飾るコラージュ作りを1回、花の観賞と写生を1回、サツマイモを使ったきんとん作りと試食を1回の、全19回行った。分析対象は、継続して参加した14人で、認知症高齢者の日常生活自立度は、Iが3人、IIが8人、IVが3人であった。 実施した活動を細分化し、効果について検討した結果、土や植物に触れるプログラムでは、手や体を動かすことによる運動の効果が得られ、等間隔で種や苗を植えたり間引いたりすることにより視空間認知の機能が鍛えられ、植物と草とを区別しなから抜くことにより、注意力が鍛えられる可能性が考えられた。話し合いでは、複数の対象者から、今年度植えた植物のできばえをふり返り改善点が出され、新たに植えてみたい植物については生育方法などの情報が出された。そこで話し合いは、過去のことを思い出すことでエピソード記憶が鍛えられ、他者の話を聞きながら発言することで注意力が鍛えられ、テーマに関連することを想起し発言することで言語流暢性が鍛えられる可能性が考えられた。コラージュ作りでは、過去の写真を見てふり返ることによりエピソード記憶が鍛えられ、写真を選んで切って貼り付けるという作業を通して集中力や視空間認知の機能が鍛えられる可能性が考えられた。花の観賞や写生は、目の前にある花の名前や咲く時期についての情報を得ることで記憶が鍛えられ、その花を写生することで注意力や視空間認知の機能が鍛えられる可能性が考えられた。きんとん作りでは、思考力の中でも、特に計画力が鍛えられる可能性が考えられた。 来年度は、細分化した活動の効果を踏まえ、個々人の情報から設定した目標に対し、より効果的なプログラムの内容について検討したいと考える。
|