2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17791696
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
平尾 恭子 和歌山県立医科大学, 保健看護学部, 助手 (20300379)
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Keywords | 広汎性発達障害 / 子育て / 早期支援 |
Research Abstract |
平成18年度は下記の2点について実施した。 1.広汎性発達障害児の子育てニーズおよび子育て支援に関する国内外の文献レビュー わが国においては、広汎性発達障害児のもつ症状および育児の困難さ、ソーシャルサポート、親のメンタルヘルス、障害の気づきと発見・診断までの経過、親の障害受容の過程、早期診断・早期療育の効果、親が必要とするサービスについて調査・研究が行われているが、それらは近年になってからのものが多く、実態調査や報告レベルのものが多い。欧米においては、親の子育てを支援するペアレンティング・プログラムが開発され効果が報告されているが、日本ではほとんどみられない。 2.広汎性発達障害児の子育てに関する質的調査 昨年度末においてW県に在住する高機能広汎性発達障害児の母親9名へのインタビュー調査を実施しており、本年はそれらのテータを質的帰納的に分析して学会へエントリーを行った。 研究結果として、1)乳幼児期の子育ての困難さは、《グレーの世界の子育て》として表現され、<子育てのなかで感じる違和感>、<意思伝達の難しさ>、<疾患のあいまいさ>、<周囲の理解木足>に分類された。2)児の発達の遅れがわかると母親は《今できることへの取組み》を行い、<相談ででるところへ出向く>、<今できることに望みをかける>、<できるだけ児にとってよい環境を整える>、<家族に理解してもらう>行動をとっていた。3)障害告知は母親に非常なショックを与えるが、それは母親が《障害と向き合う節目》となっており、<絶望的なショックを受ける>ことから<前向きに気持ちを切り替える>大きな転機となっていた。4)母親にとって保健師は《信頼をよせる身近な専門職》として存在し、<生まれたときからつき合っている>、<影のように傍にいる>、<何でも相談できる>、<これからの見通しを示す>、<母親の成長を支える>、<母親の思いを代弁する>支援を行っていた。保健師は乳児期から母親の気がかりや不安を受け止め、母親の気持ちに寄り添いながら地域にあるサービスを活用し、母親が障害と向き合い、前向きに子育てを行っていけるよう、つかず離れずの位置で母親を長期的に支援しており、早期からの支援の重要が示唆された。
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