2017 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of health promotion programs on cerebral white matter integrity and cognitive function
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17F17009
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Research Institution | National Center for Geriatrics and Gerontology |
Principal Investigator |
島田 裕之 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 予防老年学研究部, 部長 (00370974)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BAE SEONGRYU 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 予防老年学研究部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 身体活動 / 知的活動 / 社会活動 / 外出 / 軽度認知障害 / 白質神経線維結合 / 認知機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、身体・知的・社会活動を取り入れた「健康活動促進プログラム」の実践が高齢者の白質神経線維束の結合性と認知機能に及ぼす影響をランダム比較試験にて検証した。対象地域で行った高齢者機能健診参加者4,122名のうち、本研究の対象者選定基準(認知症やパーキンソン病などの疾患が有さない、外出頻度が少なく軽度認知障害を有する高齢者)を満たした494名に参加案内を郵送した。参加同意が得られた83名(平均75.9±5.5歳:男性43名、女性40名)を介入群と対照群に無作為に割り付けた。介入群には、6か月間週2回(計48回)、1回あたり90分の身体、知的、社会活動から構成されたプログラムを提供した。対照群には6か月間2回の健康講座を実施した。介入効果を検証するために介入前・後にタブレッドPCによる認知機能検査とMRI装置を用いて拡散テンソル画像(diffusion tensor imaging: DTI)を撮影した。脳画像解析はFSL5.0のTract based special statistics (TBSS)プログラムを用いて白質神経線維の結合性を評価した。また、加速度計付き活動量計を用いて身体活動と健康活動実施頻度を把握した。 介入群における6か月間の参加率は70.2%であり、対照群の2回の健康講座への参加率は78.5%であった。また、介入期間中の身体、認知、社会活動への参加頻度を介入群と対照群に比較した結果、対照群より介入群のほうですべての活動が有意に多かった。 白質神経線維の結合性を介入群と対照群で比較したところ、前視床放線と上縦束において介入前は両群間で有意な違いは見られなかったものの、介入後には対照群に比べて介入群のほうで白質神経線維束の結合性の指標である異方性比率(fractional anisotropy: FA)が高かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、健康活動促進プログラムの実践が白質神経線維の結合性と認知機能に及ぼす影響をランダム比較試験にて検証することを目的とした。対象者選定と募集を当初計画より早めに進めることができたため、その後の事前検査、介入、事後検査を早めに開始することができた。しかし、当初対象者数を150名と予定していたが、予想より参加希望者が少なかったため、最終的な参加者数は83名となった。参加希望が少なかった理由としては、本研究は日頃外出が少なく、軽度認知障害を有している高齢者を対象としていることから、このような教室への参加が消極的であることが考えられる。本研究では参加者の辞退を防ぐために、グループごとにスタッフがファシリテーターを行ったが、募集段階から参加希望を出してない高齢者に対する対策が必要であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、健康活動促進プログラムの効果検証の結果をまとめて論文として公表する予定である。具体的には、認知機能検査の結果と加速度計付き活動量計のデータを集約して2要因分散分析を用いて介入の効果を検証する。また、介入後に変化が見られた前視床放線と上縦束のFA値を抽出して、認知機能検査のスコアとの関係や分散分析による介入効果を検討する予定である。 平成30年度には、健康活動促進プログラムの経験が活動的な生活習慣を定着させたかどうかを追跡調査によって検証する予定である。
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