2017 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Antifreeze Glycoproteins, which Structure was Regulated by the Fluorine- Gauche Effect
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17F17042
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
柴田 哲男 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40293302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YIWUREYIMUJIANG SAIDALIMU 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 不凍タンパク質 / 含フッ素化合物 / トリフルオロメチルチオ化 / ケトン / ラクタム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,巨大な分子量を持つ不凍タンパク質の不凍活性を小分子から中分子程度の有機物質で実現させることを目的とする。標的となる有機分子はフッ素原子,またはフッ素官能基を導入した糖ペプチド鎖を想定した。そのため研究では,ペプチド部合成,糖部の合成およびそれぞれのフッ素官能基化反応の開発が中心となる。目的の化合物が合成出来れば,続いてその性能評価を行う。研究計画に従い平成29年度は,合成素子となる様々なフッ素官能基を導入したアミノ酸や非天然アミノ酸を合成するための新規反応の開発に注力した。まず,第一の選択肢としてのフッ素官能基は,脂溶性を最も増大させる官能基であるトリフルオロメチルチオ基(SCF3)基を選んだ。しかし,SCF3基をアミノ酸に直接導入する手法はない。そのため,SCF3基を有するアミノ酸合成を志向した開発に着手した。トリフルオロメチルチオ基源として,DAST類縁体であるCF3-DASTを用い,β-ジケトン及びラクタム化合物を基質に用いて反応を検討した。その結果,期待通りに脱アシル化を伴ったSCF3化反応が進行することを見出した。反応条件の最適化を行った後、基質一般性を評価した結果、本反応は広い基質一般性を有することが明らかになった。ラクタム化合物へのSCF3化が首尾良く進行することを見出したので,現在,この手法を利用して,環状アミノ酸プロリンおよびピログルタミン酸のトリフルオロメチルチオ体の合成を検討している。一方,フッ素化芳香環を持つフェニルアラニン様のアミノ酸の合成も別途検討したが,こちらの場合は,種々検討したもの良い結果を得ることにいたっていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画通り,フッ素官能基の中でも分子の極性への影響が最大であるトリフルオロメチルチオ基の温和な条件での挿入反応の開発に成功した。この成果は論文投稿には至っていないものの,成果の一部は学会にて発表することが出来た(日本化学会 第98春季年会;第40回フッ素化学討論会)。現在,本手法にてアミノ酸プロリンのトリフルオロメチルチオ体の合成法に取りかかっており,この反応が成功すれば,そこまでのデータをまとめて論文投稿する予定である。また,この化合物が完成すれば,標的糖ペプチド合成の第一関門は突破したことになる。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度で開発した手法にて,標的となる糖ペプチドの合成を行う。まずは,29年度の結果をもとにトリフルオロメチルチオ化プロリンの合成を完成させる。すでに基本となる反応は見出しており,予想通りに進行すると考えている。トリフルオロメチルチオプロリンの合成後,ペプチド鎖を伸張していく。合成は,液相あるいは固相合成法のいずれかを検討する。カップリングするもう一つのアミノ酸には,含フッ素,もしくはフッ素を持たないプロリンを選ぶ。これはオリゴマーとした際にヘリックス構造をとるように設計したものである。ペプチドに糖部位を連結出来るようにするため,予めアジド基で修飾したプロリンが必要になる。そのため,プロリンアジドの合成も同時に行う。目的のオリゴトリフルオロメチルチオプロリン・糖ペプチドの合成が完了すれば,いよいよ不凍活性の評価を行う。また,時間に余裕があれば,新たな標的の合成も試みる。即ち,トリフルオロメチルチオ基に比べ,中程度の脂溶性を有するトリフルオロメトキシ基(OCF3)基を導入したアミノ酸が標的となる。ここでもまずは,トリフルオロメトキシ基の導入反応の開発を行う。その後,該当するトリフルオロメトキシ基プロリンの合成にも取りかかる。上記と同様の戦略にトリフルオロメトキシプロリン・糖ペプチドの合成を完成させ,不凍活性の評価を行う。
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Remarks |
柴田研究室ホームページhttp://www.ach.nitech.ac.jp/~organic/shibata/index.html
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