2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of high-sensitivity nanowire biosensor array for canceration diagnosis of iPS cells
Project/Area Number |
17F17058
|
Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
曾根 逸人 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (80344927)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHANG HUI 群馬大学, 大学院理工学府, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
|
Keywords | ナノワイヤ型バイオセンサ / 検査・診断システム / 医用システム / 電子デバイス・機器 / 細胞表面マッピング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、iPS(人工多能性幹)細胞のガン化の原因を解明するため、iPS細胞の分化挙動を調べるための高感度バイオセンサの研究開発を目的とする。平成29年度は以下の4項目について研究を進め、それぞれ成果を挙げた。 (1)電子線描画法を用いたサブ20 nm幅のHSQレジストナノワイヤ(NW)列の形成: 電子線描画装置(現有設備)を用いて高分解能レジストHSQのNW列をSilicon on insulator (SOI)基板上に形成した。スピンコートによるHSQの薄膜化と電子線描画の露光条件最適化により、幅約20 nmのHSQレジストNW列の形成を確認した。 (2)Si層へのレジストNW列転写技術の確立: (1)で形成したレジストNW列をマスクとして、反応性イオンエッチング(RIE)を用いてSOI基板のSiデバイス層をエッチングして、SiNW列を形成した。RIEのパワー、反応ガス種、流量等を最適化することで、最小線幅18 nmのSiNW列の作製に成功した。 (3)SiNW列への電極配線によるSiNWバイオセンサ作製技術の確立: フォトリソグラフィを用いて、SOI基板上にTi電極を形成し、その電極間に架橋するSiNWを(1)と(2)で得た条件を用いた電子線描画の重ねプロセスにより形成した。さらに、NWのみ露出するよう電極部を絶縁性レジストのSU-8で被覆した。ソースメータを用いた電流電圧(I-V)測定からオーミック特性が得られ、良好な接合が形成できたことを確認した。 (4)低濃度生体分子測定による検出感度評価: ホスホン酸処理によりSiNW表面にアミノ基を形成した後に、PBSで希釈した免疫グロブリンG(IgG)を反応させたところ、6 fMの低濃度IgGでも約5%の抵抗変化が確認できた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前記(1)の電子線描画法を用いたレジストNW列の形成では、幅約20 nmのHSQレジストNW列の形成が確認できた。当初計画のブロック共重合体を用いた自己組織化によるサブ10 nmのNW列の形成は実施できていないが、(1)で形成したHSQ-NW列は10 um程度の長さまで平行に形成できたことから、列間隔を広げれば整列した自己組織化のためのガイドライン形成が可能と考えている。 (2)では、レジストNW列をマスクとしてSi層へパターン転写するためのRIE条件が最適化でき、幅約18 nmのSiNWの作製に成功した。この条件を用いれば、自己組織化によるサブ10 nm幅のNW列についても転写が可能と考えている。 (3)の電極形成では、フォトマスクの作製からはじめて、Ti電極を形成した後に電子線描画の重ねプロセスまで実現できた。さらに、絶縁被覆を施して良好なオーミック特性が得られたことにより、(4)で6 fMという極めて低濃度のIgG検出に成功した。以上の結果から、自己組織化によるNW列の実現までは至っていないが、SiNW列の作製プロセスおよびバイオセンサの動作も確認できたことから、概ね順調に研究推進できていると考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、(1)HSQレジストNW列をガイドラインとした自己組織化ブロック共重合体NW列の形成、(2)SiNWバイオセンサを用いた溶液中でのイオン濃度特性の評価、(3)SiNWバイオセンサアレイを用いたイオン濃度分布の連続測定による細胞活動状態のモニタリングおよびiPS細胞の分化挙動の解明について研究する。 (1)では、電子線描画によって数100 nmの間隔に配列させたHSQレジストNW列を形成し、それをガイドラインとしてブロック共重合体のPS-PDMSを用いて、PDMSのNW列を形成する。そして、RIEを用いてSi層への転写を行い、サブ10 nm幅のSiNW列の形成を目指す。 (2)では、溶液中での微小イオン濃度変化を検出するため、SiNW表面の修飾法を確立した上で、低濃度イオン溶液を用いた感度評価を行う。 (3)では、サイズ100 μm角の範囲にSiNWセンサを20 μm間隔で配置したバイオセンサアレイを作製する。各センサにソースメータを接続して、溶液中での電気特性およびイオン濃度変化に伴う応答等を確認する。その後、センサアレイ上にiPS細胞を搭載して、細胞表面から出るイオン濃度分布をソースメータおよびデータ集録システムを用いてモニタリングする。そして、正常細胞とガン化細胞のイオン濃度分布と時間変化を解析して、細胞分化機構の解明を目指す。
|
Research Products
(6 results)