2017 Fiscal Year Annual Research Report
Optical sensing chip based on Ge mid-infrared integrated photonics
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17F17071
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹中 充 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20451792)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HO CHONG PEI 東京大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 中赤外光 / センシング / 光集積回路 / ゲルマニウム |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年は、数値計算を用いて中赤外波長領域でのGe導波路の単一モード条件を明らかにし、その結果に基づき高いQ値を持つリング共振器の実現を目指した。単一モード条件の導波路幅でも良好な光伝搬を得るために、電子線描画条件の最適化を進め、低損失Ge導波路を実現した。この成果を用いて、Ge導波路を用いてリング共振器を作製を進めた。導波路の単一モード化および導波損失の低減により、良好なリング共振器動作を実現し、波長1950nmにおいて、1万7000を超える高いQ値を実証することに成功した。この成果により、分子吸収によるわずかな吸光量の変化を測定可能になった。さらに2つのリングをカスケード接続した素子の作製ににも成功し、透過スペクトラムを評価することで、2つのリング共振器の干渉効果を観測することに成功した。この成果は、今後センシングにおける測定波長を可変するために有用なものである。 さらに、リング共振器を用いた水素センサーを実現するための検討を進めた。リング共振器上部に酸化タングステンを蒸着した構造を考案した。水素吸着による発熱反応によりGe導波路が過熱され、リング共振波長がシフトすることで水素量を定量的に評価可能である。水素センサーを実現するために必要な素子構造を設計し、素子作製に成功した。さらに、導波路と光ファイバの入出力となるグレーティングカプラの結合波長を調整するための可変機構についての検討を進めた。MEMSアクチュエーターと熱光学効果を組みあわせることで、波長可変が可能であることを数値計算で明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的である、導波損失の低減および高いQ値を持つリング共振器の実証に成功した。また、研究の進展に伴い、水素を効率よくセンシングする素子構造の考案に至り、現在実証に向けた素子作製、評価系構築を進めている。当初の想定を超えた新しい研究アイディアが生まれており、当初の計画を超えた進捗が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
高いQ値をもったリング共振器の作製に成功したので、今後はこのリング共振器を組み合わせた素子の研究を進める予定である。現状では作製誤差の影響でリング共振器の共振波長が各リングで揃わない問題がある。ヒーター加熱による調整機構を組み込むことで、所望の波長でセンシングできるように研究を進める。またリング共振器を使った水素センサーの研究も進める。水素をセンシングするためには、チップ上に水素を流すための流路を形成して、測定部位をチャックする必要がある。流路をPDMSで形成するためのプロセス技術の開発および、チップチャックの設計を進め、Geリング共振器を使った水素センシング動作の実証を目指す。
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