2017 Fiscal Year Annual Research Report
ヒトを含む哺乳類の数値気道モデル開発と室内環境評価への適用
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17F17078
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
伊藤 一秀 九州大学, 総合理工学研究院, 教授 (20329220)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN LU PHUONG 九州大学, 総合理工学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | ほ乳類上気道モデル / 計算流体力学 / 経気道暴露 |
Outline of Annual Research Achievements |
経気道暴露問題の本質的理解のために流体工学的な研究蓄積が求められている.倫理的な観点より実人体を用いた被験者実験(in vivo)には制約があるため,動物実験を実施してその結果を人間に外挿するか,模擬的な呼吸器系モデルを作成して実験室実験(in vitro)を行うことになる.実験の第一段階としてラット等の小型齧歯類や小形哺乳類であるイヌやサルを対象とした動物実験を行うことが一般的であるが,そのインパクトを人体スケールへ換算する必要がある.経気道暴露問題を実験動物とヒトで定量比較するためには,両者の鼻腔内流れ場,微粒子輸送現象,気道内沈着分布等の差違を定量的に把握することが本質的に重要な課題となる.本研究ではラット,イヌ,サル,ヒトの鼻腔・口腔から気管支細分岐までの幾何形状を詳細に再現したうえで,経気道曝露による生理影響を定量的に評価するための数値気道モデルの開発に取り組むものである. 本年度は研究計画に従い,以下の課題を推進した. (1) ほ乳類上気道モデルの作成:コンピュータ断層撮影法(CT)による3次元データ(DICOM)を基に,ラット,イヌ,サル,ヒトの鼻腔から気管までの詳細幾何形状を抽出し,汎用的な3D-CAD用書式(STL)で形状データを整理した上で,CFD解析用のメッシュデータを作成した. (2)複雑幾何形状内の速度場・温度場を対象とした高空間・高時間分解能3次元可視化計測技術の確立:ヒトならびにサルのアクリル製上気道モデルを作成し,可視化粒子画像流速測定法PIVにて鼻腔モデル内流れ場の可視化計測を行った.また,対応する数値解析を実施することで計算流体力学CFDの予測精度検証も実施した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画に従い,順調に研究を進めている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目となるH30年度には以下の2課題を実施する. (1) アクリル製上気道モデルを対象とした3次元可視化計測の実施:初年度に確立した高空間・高時間分解能を有する3次元計測手法を基に,イヌやヒトのアクリル製上気道モデルを対象とした気道内流れ場と粒子拡散場の計測を試みる.呼吸量すなわち流入気流のReynold数を段階的に変化させた計測を行うことで,数値解析検証用の高精度データを蓄積する. (2) 数値鼻腔モデル(ラット,イヌ,サル,ヒト)を対象としたCFD解析:初年度に定常一定呼吸条件のCFD解析を実施し,基本ケースの計算結果と実験結果の比較を実施したが,研究2年目であるH30年度は,鼻腔内流れの特徴となる,狭窄部や急拡大部を含む複雑幾何形状,更には非定常呼吸サイクルに起因する複雑流れ場の予測を可能とする乱流モデルを検討し,独自の補正を施したモデルを提案する.その上で,ナノスケールからマイクロスケールのエアロゾル粒子を対象としたEuler-Lagrange系の鼻腔内エアロゾル濃度分布解析法を開発・整理する.
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Research Products
(3 results)