2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17F17090
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
花嶋 かりな 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (80469915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HOU PEI-SHAN 早稲田大学, 多細胞システム形成研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-10-13 – 2020-03-31
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Keywords | 大脳皮質 / 運動野 / 体性感覚野 / ニューロン / 領野 |
Outline of Annual Research Achievements |
末梢器官からの感覚入力を受容する大脳皮質の第4層ニューロンは、領野特異的神経回路の形成において中心的な役割を担うと考えられているが、第4層ニューロンの発生機序については不明な点が多く残されている。本研究は大脳皮質の領野決定のしくみを解明するために、第4層ニューロンの分化機構に着目し、哺乳類で高度に保存された一次運動野と一次体性感覚野間の境界形成機構を明らかにするものである。今年度は第4層ニューロンの分化を制御する転写制御ネットワークに焦点をあて、マウスを用いたトランスクリプトームおよびChIP解析を行った結果、Foxg1が発生期大脳皮質におけるCOUP-TFIの発現を抑制し、Foxg1とCOUP-TFIの相補的なパターンが第4層ニューロンの分化を制御している可能性が示唆された。これを検証するために、Foxg1のノックアウトマウスを用い生体内でFoxg1の発現操作を行った結果、大脳皮質上層ニューロンにおけるFoxg1の発現抑制が、COUP-TF1陽性細胞を誘導することが見出され、これら転写因子間の相互作用が層特異的なニューロンの分化を制御していることが示された。またこれと並行して、発生期大脳皮質における第4層ニューロンの動態を可視化するために、生体において第4層ニューロンを遺伝学的に標識する手法を用い、時期特異的なタモキシフェン投与によるレポーター遺伝子の組み換え効率について評価し、大脳皮質スライスを用いたライブイメージングの条件検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度はノックアウトマウス、トランスクリプトームおよびChIP解析を組み合わせることで、第4層ニューロンの分化決定を担う新たな転写制御ネットワークの存在が示され、今後の研究の展開へとつながった。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでのFoxg1の遺伝子発現操作によるトランスクリプトームとChIP解析の結果から、大脳皮質におけるFoxg1とその標的遺伝子の相補的な遺伝子発現が第4層ニューロンの分化を制御している可能性が示された。そこで今後は第4層ニューロンの分化におけるFoxg1 と標的遺伝子の発現動態の解析、コンディショナルノックアウトマウスおよびCRISPR/Cas9システムを用いた各転写制御因子の発現操作による機能獲得/機能欠失実験、また生化学的実験を用い、第4層ニューロン分化を規定するFoxg1を介した転写制御ネットワークの分子実体を明らかにしていく。これと並行して遺伝子改変マウスを用いたライブイメージングにより、領野特異的ニューロンの統合パターンについても解析を進める。
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