2017 Fiscal Year Annual Research Report
Metabolic engineering of flavonoid-incorporated lignins for improving grass biomass utilization
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17F17103
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
飛松 裕基 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (20734221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LAM PUI YING 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | バイオマス / 細胞壁 / リグニン / イネ科植物 / フラボノイド / ケイ皮酸エステル |
Outline of Annual Research Achievements |
イネ科植物は、樹木を凌ぐ高いバイオマス生産性と優れた環境適応性を併せ持つ有用植物種を多数含み、経済性の優れた木質バイオリファイナリーシステムを担うバイオマス供給源として世界的に期待されている。本研究では、イネ科植物のバイオマスに特有のフラボノイド修飾型及びアシル修飾型リグニンの生合成機構の解明と代謝工学的特性改変に関する究明を進め、イネ科バイオマスの利用性向上を目指した研究を行う。具体的には、フラボノイド修飾型及びアシル修飾型リグニンの形成に関わるイネ遺伝子群の同定を進め、その量や構造を様々に改変した形質転換イネを作出し、植物体の成長特性やバイオマスの各種利用性の比較評価を行う。これまでに、イネにおけるフラボノイド修飾型リグニンの形成に関わる複数のフラボノイド合成遺伝子の同定とその発現抑制によるフラボノイド修飾型リグニンを欠失した独自の形質転換イネの作出に成功している。
平成29年度は、それらフラボ ノイド修飾型リグニンを欠失した形質転換イネの更なる特性解析を進めるとともに、アシル修飾型リグニンの形成に関わると予想されるリグニン前駆体アシル化酵素の解析にも着手した。前者については、複数のフラボ ノイド修飾型リグニンを欠失した形質転換イネにおいて、バイオマス構造の変化とともに、バイオマス糖化性の向上が顕著に見られることを明らかにした。一方、後者については、アシル修飾型リグニンの形成に関わると予想される2つのリグニン前駆体アシル化酵素ホモログ遺伝子を選定し、各遺伝子のシングルノックアウト株の解析を行ったところ、いずれにおいてもアシル修飾型リグニンの形成が顕著に抑制されていることが分かった。現在、両遺伝子の機能を欠損した二重変異体の作出と解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
計画通り、複数のフラボ ノイド修飾型リグニンを欠失した形質転換イネの特性解析をすすめ、バイオマス構造の変化とともに、バイオマス糖化性の向上が顕著に見られることを明らかにした。さらにアシル修飾型リグニンの形成に関わると予想されるリグニン前駆体アシル化酵素遺伝子の同定にも成功していることから、当初の計画以上に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、イネ科植物におけるフラボノイド修飾型及びアシル修飾型リグニンの合成に関わる遺伝子群の解析とその発現抑制株・機能破壊変異株の作出と特性解析を進める。次年度は、フラボノイド修飾型とアシル修飾型リグニンを共に欠失した多重変異イネの作出にも着手する。
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