2017 Fiscal Year Annual Research Report
炎症と腸内フローラに基づく自閉症モデルの病態生理解析
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17F17112
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
内匠 透 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (00222092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SAITO VIVIANE 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 自閉症 / 炎症 / 腸内フローラ |
Outline of Annual Research Achievements |
自閉症は社会性相互作用やコミュニケーションの異常、限定、反復する行動、興味、活動などを主な症状とする小児の精神疾患で、脳の発達障害である。自閉症は遺伝的寄与が他の精神疾患に比べて高いが、環境要因をはじめとする非遺伝学的な要因も考えられる。一方、ヒト遺伝学的解析から様々な遺伝子変異やゲノム異常がその原因として知られ、それらのモデルマウスの作製が行われている。BTBRマウスはマウスの一系統であるが、自閉症モデルマウスの中で、行動科学的にはもっとも典型的な自閉症様行動を示すことが知られている。このBTBRマウスにおける炎症、さらには腸内細菌がどのようになっているのか、また行動異常にどのように関わるのかを明らかにすることを目的とする。自閉症患者では主たる社会性の障害の他に胃腸障害が頻繁に見られるが、我々の研究室では、その視点から免疫系及び腸内フローラに関わる研究を行っている。その過程で理研バイオリソースセンター(BRC)が所有するBTBRマウスが自閉症様行動を示すだけでなく、炎症系の異常があることを明らかにしている。BTBRマウスでは、脳内、末梢のリンパ系および腸管において炎症反応が高まっている。腸管内の免疫系の異常が腸内フローラを変化させ、結果的に脳に影響を与えるといういわゆる脳腸連関の破綻が原因であるという仮説を立てている。本研究では、腸内フローラの解析も含めて、炎症の視点で病態メカニズムを明らかにしようとするものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
理研バイオリソースセンター(BRC)由来BTBRマウスと米国ジャクソン研究所(JAX)由来BTBRマウスでは、脳形態および行動表現型が異なることを見出した。各BTBRモデルマウスの超音波蹄鳴数の計測による社会性コミュニケーションの評価、脳形態、および腸内フローラの解析を行ったところ、BTBR (BRC)とBTBR (JAX)に違いが存在することがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
炎症によるミクログリアの活性化の観点から、胎生期にミノサイクリン投与し、超音波蹄鳴数の計測による出生後の行動の評価、メタゲノム解析による腸内フローラの評価、また免疫組織化学による新生児期の脳形態の評価を行う。この実験プロトコールを野生型、自閉症コピー数多型モデル(Dup15q)、BTBR (BRC)、BTBR (JAX)の各マウスに適応する。これらの体系的な実験により、脳内の炎症と自閉症様行動との関連を腸内フローラを介して理解することを目指す。
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