2017 Fiscal Year Annual Research Report
Catalytic Asymmetric Synthesis of beta2-Amino Acids
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17F17113
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Research Institution | Microbial Chemistry Research Foundation |
Principal Investigator |
柴崎 正勝 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 所長 (30112767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
YU JIN-SHENG 公益財団法人微生物化学研究会, 微生物化学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 不斉合成 / 不斉触媒 / β-アミノ酸 / ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,ペプチドミメティクスの合成素子として近年需要が高まっているbeta2-及びbeta2,2-アミノ酸をターゲットとしている.現状において合成化学・生物学的な供給手法が極めて乏しいという実情から,触媒的不斉合成による新たな合成手法の確立を目指している.特にペプチド化学への展開を念頭に,Fmoc固相合成法に即座に適用可能な形での供給を狙う点が他の先行研究と異にする点である. 平成29年度はまずbeta2-アミノ酸等価体として設定した環状ヒドロキシルアミンを用いた触媒的不斉反応の開発に注力し,特にパラジウム触媒を用いた脱炭酸駆動型不斉アリル化反応が高立体選択的に進行することを見出した.得られた成績体はアリル基特有の反応性を活かすことで,さまざまな官能基を側鎖に有する新規beta2,2-アミノ酸へと誘導可能であった.また取得した化合物を,alpha-ケト酸とのアミド結合形成反応を経た後にFmoc固相合成法へと展開することでalpha/beta-ハイブリッド型のペプチドを取得し,ペプチド鎖上でのアリル位選択的変換反応も可能であることを示した.さらに触媒的不斉アリル化反応に加えて,環状ヒドロキシルアミンをエノラート前駆体としたケチミンへのダイレクト型触媒的不斉マンニッヒ型反応が高効率・高立体選択的に進行することも見出している.本反応によって得られるbeta2,2-アミノ酸は2つの連続不斉炭素を有する独自性の高い骨格であり,上記方法に倣ってペプチド鎖へと導入することで新たな機能発現が期待される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初計画では平成29年度中にアリル化反応を立体選択的に促進する触媒系を確立し,その成績体を用いて様々なbeta-アミノ酸類の合成を計画していた.上述のように既にパラジウム触媒による不斉アリル化反応は最適化済みであり,得られたアミノ酸類がFmoc固相合成法を用いることでalpha/beta-ハイブリッド型ペプチドへと容易に導入可能であることまで示すことができた.本年度はさらに,ダイレクト型マンニッヒ反応を効率的に促進する触媒系の開発もほぼ達成することができており,得られた成績体がやはりペプチド鎖へと容易に導入可能であることも確認している.以上の結果より,当初研究計画以上の進捗を以て研究を推進できていると考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度はまず上述のマンニッヒ反応を仕上げた後に,得られた最適化触媒を用いて他の求電子剤との触媒的不斉反応を探索していく.これによって本研究成果によって取得可能なbeta-アミノ酸ライブラリーの構造多様性の一層の拡充を狙っていく.さらに取得したalpha/beta-ハイブリッド型ペプチドを用いて本研究で得られるアミノ酸類の構造的特徴を精査していく.具体的にはヘリックス及びターン構造を形成することが報告されている既知ペプチド鎖の類縁体を合成し,NMR及びCDを用いた分光学的手法に加えて,分子動力学法を用いた計算化学的手法も併せて構造解析を進めていく.特に既存のalpha-アミノ酸やbeta3-アミノ酸との差異を明らかとしていくことで,本研究で得られたbeta2,2-アミノ酸の特長を把握し,今後の研究における分子設計の礎としていく予定である.
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Research Products
(3 results)