2017 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of mechanism of platelet biogenesis using human iPS cells
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17F17122
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
江藤 浩之 京都大学, iPS細胞研究所, 教授 (50286986)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN SI JING 京都大学, iPS細胞研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 巨核球 / 血小板 / 成熟 / 細胞不均一 / Venusレポーター / arylhydrocarbon receptor |
Outline of Annual Research Achievements |
献血にのみに依存しない血小板輸血製剤の供給を実現することが希求されている。そこでSi Jing Chen博士が所属する江藤研究室では、以前の研究によって血小板産生前駆細胞である巨核球を長期間に亘って増殖維持可能な細胞株として樹立することに成功した(Cell Stem Cell, 2014)。Chen博士は、この巨核球細胞株成熟をより促進するための薬物発見ならびに、薬物発見を通じた成熟分子機構解明を目的に研究を開始した。 Si Jing Chen博士は、成熟に寄与するであろう遺伝子ネットワークに焦点を絞って解析するため、血小板産生において特異的な発現パターンと発現頻度が上昇することが知られているbeta1 tubulinのゲノム領域にレポーターVENUSを組み込んだ細胞株TUBB1(beta1 tubulin) VENUS巨核球細胞株を作製し、その細胞株を用いた薬物スクリーニング解析システムを構築した。その後、巨核球成熟を促進する薬物スクリーニングを実施し、既存のライブラリーの中から複数の薬物に血小板産生の促進効果があることを明らかにした。実際にこれらの複数薬物で、マウスの血小板減少病態を改善することを確認した。これらの発見した薬物は、(1)既存の細胞内シグナル経路であるaryl hydrocarbon recptor (AhR) への阻害効果、と(2)AhR非依存的な集団の2つに分類可能であった。AhR下流のシグナルがどのように巨核球成熟を促進するのかは依然不明であり、今後も研究を継続する。 本研究は、巨核球の成熟工程にどのようなシグナルか大きく関与するか、またその主たる機構は何か、を明らかにする重要な研究テーマであり、今後も研究は継続される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
スクリーニングによって導出した薬物リスト、本細胞株の有用性に関しての論文を投稿した。本テーマの継続は重要であり、今後も研究成果として発表可能な状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
既存の薬のライブラリーを活用した中で発見された血小板産生促進因子は、一つはAhRに対する会合度を保持し、AhRの抑制によって巨核球の成熟を促進した。一方で、AhR非依存性の機構も明らかになった。そこで、本年はAhR下流の細胞内部のシグナルがどのように巨核球の成熟を成熟させているかをバイオロジーだけでなく、共通性を保持する構造の詳細な解析を通じて、パテントに抵触しない新規構造体による薬物を開発する。
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