2017 Fiscal Year Annual Research Report
The therapeutic applications of RANKL working as a bone-formation-stimulating receptor
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17F17124
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
青木 和広 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 教授 (40272603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
KHAN MD ABDULLA Al Masud 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 骨形成促進剤 / RANKL / 局所の骨形成 / 人工エクソソーム / 高速AFM / クラスタリング / OPG / 骨芽細胞分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、骨粗鬆症治療薬は骨吸収抑制薬であるビスフォスフォネート製剤が主流であるが、リモデリング活性の低下による骨質の劣化により非定型骨折がおこったり、口腔内細菌による炎症などにより顎骨壊死などおこったり、ビスフォスフォネート製剤の様々な副作用が指摘されている。このため、骨吸収抑制薬より骨形成促進薬を開発する必要から多くの製薬会社が新規薬剤開発につながる骨形成促進メカニズムの解明に興味をもっている現状がある。全身の骨形成促進薬だけにかぎらず、歯科領域などでは局所の新規骨形成促進剤の開発が待たれている。 我々は新たな骨形成促進剤開発の為に、破骨細胞分化促進因子であるRANKLに結合するペプチドが骨形成促進作用を示すことを明らかにしてきた。しかし、RANKLに結合するオステオプロテゲリン(OPG)や抗RANKL抗体には明らか骨吸収抑制作用はあっても、骨形成促進作用は伴わない。このことは、RANKLに結合する分子がすべて骨形成促進作用を発揮するのではないことを示している。 本研究ではRANKLに結合するペプチドの骨形成促進作用発現メカニズムが、細胞膜上のRANKLのクラスタリング形成誘導に関与すると仮定し、膜RANKLのクラスタリングを誘導する人工エクソソームの創製により新規骨形成促進剤開発への糸口がつかめるのではないかと考え、実験を進めてきた。 2017年度は金沢大学と東京大学病院薬剤部との共同研究により、RANKLのクラスタリングが骨形成促進作用に重要であることを示唆するデータを得ることができた。OPGとRANKL結合ペプチドであるOP3-4との作用の違いを、RANKL分子を集合体化させる能力があるペプチドと集合体化がおこらないOPGであることを高速AFMにより示し、またOPGであってもIgMでクラスタリングを誘導してあげると骨芽細胞分化が亢進する結果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RANKL(receptor activator of NF-kB ligand)に結合するOPG(osteoprotegerin)は、骨形成促進作用を示さないが、RANKLに結合するペプチドは骨形成促進作用を示すことをまず確認した。OPGとの違いがRANKLの凝集状態を引き起こすことにあると仮定したが、金沢大学との共同研究により超高速AFM(atomic force microscope)を用いて固相化したRANKLの挙動を観察したところ、RANKL結合ペプチド存在下では基盤上のRANKLの凝集(クラスタリング)が観察され、一方、OPG存在下ではRANKLのクラスタリングは制限されていた。 このRANKL結合ペプチドによるRANKLのクラスター化が、実際の骨形成促進作用につながるか否かを調べるために、OPGをIgMを用いて5量体のクラスター化を誘導した。すると、OPG-Fc単独では骨芽細胞の分化は促進しないが、IgM添加により骨芽細胞分化は有意に促進した。 この結果から、まさしくRANKLのクラスタリングこそ骨芽細胞分化を促進させる一つのメカニズムになっていることが明らかとなった。 このように仮説が証明されたことから、進捗状況は順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度はRANKLのクラスター化を誘導する人工エクソソームの創製に取り掛かる。京都大学との共同研究によりOPGあるいはRANKを発現する人工エクソソームをOPGあるいはRANKのタンパク発現量を変化させたそれぞれ5種類のエクソソームを創製する。in vitroの骨芽細胞分化アッセイにより、一番骨芽細胞分化促進作用の強い人工エクソソームを選ぶ。 その後、in vivoの頭蓋骨欠損マウスモデルを用いて、人工エクソソームの骨形成促進作用をX線学的、組織学的に検討する。
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Research Products
(1 results)