2018 Fiscal Year Annual Research Report
Did Proto-Kyushu-Ryukyuan exist? Comparative evidence and attempt at a reconstruction
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17F17303
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
狩俣 繁久 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 教授 (50224712)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
JAROSZ ALEKSANDRA 琉球大学, 島嶼地域科学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 日琉祖語 / 上代語 / エ段甲乙 / 可能動詞 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年度は、主として次の3つのことを行なった。 (1)大正年間に三度宮古島を訪問し、宮古島方言資料を収集したロシア人言語学者のニコライ・A・ネフスキーが書き残した資料には未公刊のものがあることが知られているが、ネフスキー資料を収蔵している天理大学附属図書館を訪問し、最近ようやく整理が済んだ資料を閲覧する機会を得て、これまでその存在が知られていなかった資料を見ることができた。その一部を複写することができたので、その解読作業とデジタル化を進めた。解読できた手書き資料をデジタル化し、その公開(論文発表)に向けた準備を行なった。 (2)宮古群島の来間島と多良間島を訪問し、臨地調査を行なった。そこで得られた資料を検討した結果、上代日本語のエ段の甲乙の区別が保持されている宮古語の単語を確認し、日本言語学会での口頭発表に応募するための準備を進めた。 (3)同じく、宮古語の可能表現を表す可能動詞に上代日本語の「ユ」、「ラユ」の対応する形式と「ル」、「ラル」に対応する形式があることを確認し、その意味的な使い分けが有るかをの検討を始めた。これらの成果を2019年7月にオーストラリアの国際学会で発表するための準備を行った。なお、発表要旨を投稿し、その採択が認められたので、発表原稿執筆の準備を始めた。 上記の(2)と(3)は、これまで知られていなかった上代語の痕跡が宮古語にあることを確認することになり、宮古語研究が日琉祖語研究にとって大きな役割を果たす可能性の言語であることを示せるものと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
島嶼予定していた現地調査を実行できたこと、その臨地調査で日琉祖語研究にとって有益なデータを得ることができたこと、ネフスキーの未発表手書き資料を見つけることができたことによって、当初の想定以上の成果である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の一部を日本言語学会で発表採択に向けて応募の準備を進める。採択されたばあい、発表予稿集の原稿作成を進め発表を行う。それらの成果を踏まえて雑誌への投稿の準備を行う。天理大学附属図書館を再度訪問し、さらに資料発掘を進める。
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