2017 Fiscal Year Annual Research Report
訪日観光客の災害リスク認知と観光業・行政サイドの防災戦略について
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17F17307
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小貫 元治 東京大学, 新領域創成科学研究科, 准教授 (20376594)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NGUYEN David Ngoc 東京大学, 新領域創成科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 防災 / 津波災害 / 火山災害 / 観光産業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、観光地における災害リスクマネジメントの現状、とくに観光業におけるビジネスと行政サイドの防災戦略を明らかにすることである。人口減少による内需の縮小が見込まれる我が国では、観光業を促進して外貨の獲得を目指す動きが有り、訪日観光客は増加している。しかし同時に日本は災害国でもあり、多くの観光地には災害リスクが存在する。東京オリンピックも見据えて訪日観光客のさらなる増加が見込まれる中、訪日観光客を災害から守る体制の確立が重要となっている。 本研究の対象地域は、東京オリンピックを見据えて訪日観光客の増加が見込まれる中、津波リスクの高い観光地(鎌倉、湘南)や火山噴火リスクのある観光地(箱根)を有する神奈川県である。研究初年度である平成29年度は、神奈川県川崎市、横浜市、横須賀市、三浦市、藤沢市、箱根町の津波・火山噴火ハザードマップをGISにより解析し、危険地域内に存在する観光業者(おもに宿泊施設)の洗い出しを行った。次に、現地予備調査をおこない、避難指示の掲示の確認、ホテルによる防災物資の備蓄など、現在の災害マネジメント対策の調査を行った。この作業で、川崎市は対象から除外した。さらに本調査の準備として、分担者が過去に確立した調査ヒヤリング手法を発展させ、調査項目の確定を行った。 加えて、南海トラフ地震が想定される四国の高知県高知市や徳島県徳島市についても同様のGIS解析をおこない、さならる対象地域の検討も行った。 また、分担者が過去に確立した調査手法を用いた研究結果を論文にまとめて発表した。併せて防災フォーラム(2017年11月仙台)やThe 7th International Conference on Environmental Futures(2018年3月East-West Center in Hawaii)でも発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、対象地域とした神奈川県鎌倉市などの予備調査並びに現地調査準備を予定していたが、ぼ予定通りに準備を済ませることができた。また、当初予定していた対象地域に加えて、高知県高知市や徳島県徳島市など、当初計画以外にも対象地域を広げる可能性についても検討することができた。したがって、当初の計画以上に進展したと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
上記で洗い出した業者と、地元行政や観光協会との協力関係や、観光地マーケティングの現状をを調査し、協力を阻む要因を洗い出す。手法は、行政へのインタビューと60-70のホテルを対象とした調査を予定している。加えて、参加型GISを用いて、民間業者とともに災害リスク情報がどのように伝達されているかを可視化することを目指す。 以上から、官民協力による災害マネジメントの計画における問題点と、実際の災害リスクマネジメントの問題点を整理する。 研究分担者がかつて確立した調査ヒヤリング手法をもちいた研究結果の学会発表ならび に、本研究のための情報収集として、アジアオセアニア地球科学会年会(2018年6月ホノ ルル)などへの参加を予定している。
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