2017 Fiscal Year Annual Research Report
中国都市部における「公立学校間資源共有」改革に関する実証的研究
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17F17314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
北村 友人 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (30362221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LIU JING 東京大学, 教育学研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 義務教育 / 義務教育均衡化 / 学校間教育資源共有 / 中国 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度目となる平成29年度は、先行研究の収集とレビューと研究成果の発表をおこなった。次年度現地調査に関する準備を行った。 これまでに「義務教育均衡化」と「学校間資源共有」に関する国内外先行研究(日本語・中国語・英語)を収集し、先行研究のレビューを行い、コーディングをしながら、これまで当該テーマに関する概念や分析の枠組みをまとめ、カテゴリー化をしている。 先行研究のレビューの結果に基づき、これまで中国における「義務教育均衡化」に関する歴史や政策変遷について、2018年香港比較教育学会を通じて、世界の研究者と議論し有益なコメントを得ることができた。 文献研究ならびに理論研究と並行し、次年度行う現地調査における調整などを準備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度に計画していた①先行研究のレビュー(文献研究)、②概念枠組みの構築、③学校訪問調査の予備調査に関して、全体としては、③学校訪問調査の予備調査の日程や対象地域などに変更が生じたことところも若干あるものの、当初の計画の通りおおむね順調に進展している。 ③学校訪問調査の日程と対象地域については、当初、北京市を予定していたが、北京の代わりに成都を対象地域に変更したこととした。これまでの先行研究レビューの結果に基づき、中国国内において「義務教育均衡化」改革が最も早かった成都市の事例は本研究の目的にふさわしいと判断した。 これまで都市部における公立学校の間の教育資源共有を中心にしてきたが、先行研究のレビューにより、中国において急速な都市化が行っていると同時に都市部と農村部の統合と意味する「城郷一体化」も進んでいることが分かった。「城郷一体化」の視点から都市部と農村部を全体的に考えて行われている成都市における「義務教育均衡化」を本研究に新たな事例および展開になることを考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
2年度目となる平成30年度は、①成都市の学校訪問調査を実施し、②文献レビューと聞き取り調査の結果を擦り合わせて「学校間資源共有」モデルの構築・精緻化をおこなうとともに、③学会発表および論文の執筆を通した研究成果の発表をおこなう。 ①学校調査の実施は、文献レビューで構築したフレームワークおよびこれまでの研究で解明した枠組に用いた質問票を基本として実施する。成都市および同市の青羊区の教育委員会や関係機関および公立学校を訪問し、「城郷一体化」の視点から「教育資源共有」の意味、取り組み、効果および課題などを明らかにしたいと思います。 ②「学校間資源共有」モデルの構築・精緻化 これまでの文献レビューを、学校訪問調査の結果と擦り合わせて精緻化し、最終化する。 ③ 研究成果の発表 29年度は香港の学会で口頭での成果発表をおこなったので30年度は論文の執筆・投稿による成果の発表をおこなう。日本比較教育学会の『比較教育学研究』、北米比較教育学会の『Compare』の二誌への投稿を予定している。また、30年度日本比較教育学会で成都市の「学校間教育資源共有」の事例の報告を予定している。
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