2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17F17319
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 教授 (90234509)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CAN VAN HAO 京都大学, 数理解析研究所, 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
|
Keywords | ランダムグラフ / イジング模型 / グラウバーダイナミックス / メタスタビリティ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、京都大学数理解析研究所においてCan氏と定期的にインフォーマルなセミナーを行い、以下の研究を行った。また、Bovier教授やvan der Hofstad教授ら、当該研究の第一線で活躍する研究者を招聘し研究交流を行った。 1)正則なランダムグラフ上のグラウバーダイナミックスとそのカットオフ現象について、低温相(逆温度が大きい場合)で磁場が強ければカットオフ現象が起こり、磁場が弱ければ混合時間が指数増大する(メタスタビリティが起こる)ことをquenched(媒質のランダム性について確率1)とannealed(媒質のランダム性についても平均をとる)の場合に研究した。現時点で、annealedについてはほぼ証明ができ、quenchedについてはいくつかのテクニカルに詰めるべき部分が残っている状況である。この問題についてvan der Hofstad教授と深い議論を行い研究が進展したため、当該研究は同教授と3人の共同研究になる見込みである。証明が完了していないテクニカルな部分について、次年度に継続して研究を行う予定である。 2)定常なランダム媒質中のランダムウォークの熱核評価について、第一固有値の評価と定常性をうまく用いることにより、いくつかの仮定のもとで熱核の下からの対角評価を導くという一般的な定理を得た。証明では、媒質の定常性をうまく使う部分でJ.R. Lee氏の研究(arXiv:1701.01598)を参考にした。さらに、この定理をlong-range percolationに適用することで、このモデルでの熱核の下からの評価を得ることに成功した。一般的な定理の仮定をより汎用性のある形にすることで、他のモデルにも適用できるようにすることが次年度の課題である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
正則なランダムグラフ上のイジング模型のグラウバーダイナミックスについて、quenchedとannealedに分けてカットオフ現象やメタスタビリティがある程度明確になり、またstationarityを用いたランダム媒質の熱核評価についても一定の成果をあげることができたが、まだ論文にまとめるには至っていないため。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は最終年度であり、これまでの研究を取りまとめて論文に仕上げる段階に入る。Can氏と私のマンツーマンのセミナーを軸に、van der Hofstad教授とも連絡を取りながら、熱核の論文については一般論の部分の条件を整備するなどし、2本の論文をまとめて行く。
|