2017 Fiscal Year Annual Research Report
Understanding the growth of low-mass black holes and its role in galaxy evolution
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17F17321
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
上田 佳宏 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10290876)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
OH KYUSEOK 京都大学, 理学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 活動銀河核 / ブラックホール |
Outline of Annual Research Achievements |
Swift衛星BAT望遠鏡による全天硬X線サーベイの105か月分のデータを用いた解析データをまとめ、それに基づいた最新カタログを、研究分担者による主著論文としてApJS誌に出版した(Oh et al.)。ワシントンで行われた第231回米国天文学会において、この結果についての招待講演を行った。このカタログは合計1632天体からなり、うち422天体が、以前の70か月カタログには含まれていない新しい天体である。新天体のうち34%がセイファート銀河、7%がX線連星、10%がブレーザー天体と同定された。本カタログは、本研究の目的である「小質量ブラックホール」サンプル作成のための基礎データベースとなる。未同定天体または可視スペクトルデータが未取得の活動銀河核については、今後、さらに可視分光観測を進め、ブラックホール質量を決定する。 Swift/BAT 70か月カタログに対する分光観測プロジェクト(BAT AGN Spectroscopic Survey, BASS)を進め、X線スペクトルカタログと可視分光データカタログの第一版を出版した(Ricci et al., Koss et al.) 。 NuSTAR、Chandra, Swiftによる二重活動銀河核 ESO 509-IG066の広域X線スペクトルの解析を行った。その結果、7年前と比較して、一方の活動銀河核が10倍もX線強度が弱くなっている事実を発見した。これは銀河合体によって中心核が影響をうけ、質量降着率が変化した証拠と考えられる(Kosec et al.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Swift/BAT 105か月全天硬X線カタログは、近傍宇宙における過去最大の無バイアス活動銀河核サンプルを提供しており、今後の研究の基礎となるものである。その最終版を完成させた意義は大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
BASS計画をすすめ、AGNの可視分光データをOh et al. (2011)と同じ手法で解析し、星の速度分散を求める。その結果を用いてブラックホール質量を決め、隠された種族も含めた「小質量ブラックホールAGN」サンプルを構築する。このさい、Oh氏がPIとして取得した地上望遠鏡データ(欧州南天文台の超大型望遠鏡ほか)を用いる。可視分光データが未取得の天体に関しては、京都大学「せいめい」望遠鏡を用いて、追求観測を行う。さらに、これらのサンプルのX線スペクトルの解析を行い、AGN 光度を正確に求め、エディントン比を決定する。
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