2017 Fiscal Year Annual Research Report
Fabrication of biodegradable composite packaging from lignocellulose through ionic liqu id media
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17F17347
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
門川 淳一 鹿児島大学, 理工学域工学系, 教授 (30241722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HAQ MUHAMMAD ABDUL 鹿児島大学, 工学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | セルロース / イオン液体 / リグニン / 相溶剤 / フィルム |
Outline of Annual Research Achievements |
セルロースおよびセルロース/リグニン混合系の処理溶媒として環境に配慮したイオン液体を設計・合成し、これを用いて生体高分子由来の包装材料を開発することを目的とする。その予備段階として、セルロースの通常のイオン液体(塩化1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム)からのイオンゲル形成を介して、柔軟かつ透明な複合フィルムの創製手法を開発した。対応する溶液を水に漬浸するだけの簡便な手法でイオンゲルが効率よく得られることを見出した。このゲルから水を留去することによって複合フィルムを創製した。X線回折測定により結晶構造を解析したところ、比較的低温で長時間かけて水を留去することによって、フィルム中のセルロースが結晶/非晶の混合になることが分かった。これにより、柔軟かつ強度を有するフィルムが得られた。さらに示差走査熱量分析により150℃付近で相転移を示すことが分かり、その温度以上で熱加工性を示すことも確認された。すなわちセルロースに対して熱可塑性の付与が確認された。つぎにセルロース/リグニン混合系でも柔軟フィルムの創製を検討した。相溶剤としてデンプンを添加することで良好に複合化されたフィルムが得られた。 一方、アミノ酸と二酸化炭素から環境低負荷なセルロースを溶解するイオン液体の開発を試みた。その結果、プロリンと生体分子である塩化コリンの複合イオン液体をDMSOに混合し、炭酸ガスを吹き込むと、セルロースを速やかに溶解することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
セルロースおよびセルロース/リグニン混合系とイオン液体から特性の優れた柔軟・透明フィルムを創製する手法を確立した。またアミノ酸と二酸化炭素から環境低負荷なセルロースを溶解するイオン液体の開発にも成功した。以上のことから本研究はおおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度で確立した手法を用いて、様々な相溶剤の存在下、セルロース/リグニン混合系からのイオン液体複合化フィルムの創製を検討する。まず、それぞれのイオン液体溶液への貧溶媒の添加によるゲル化を検討する。動的粘弾性測定によりゲル状態の確認を行う。さらにゲルから貧溶媒の除去を行い複合フィルムへと変換する。得られたフィルムのX線回折測定によりセルロースの結晶状態を確認するとともに、引っ張り試験を行い力学的性質を評価し、結晶状態との関係を明らかにする。示差走査熱量分析により相転移の有無を確認し、熱加工性のある柔軟フィルムが得られる複合化条件を確立する。また、前年度に開発した環境低負荷イオン液体を用いた同様な手法により、複合フィルムの創製を検討する。
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