2018 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17F17360
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
若山 裕 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 副拠点長 (00354332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MUKHERJEE BABLU 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 二硫化レニウム / 二次元原子層 / フォトダイオード |
Outline of Annual Research Achievements |
二次元原子膜が原子層レベルの厚さでありながらトランジスタやダイオードに応用できること着目した光機能素子の開発に取り組んでいる。特に遷移金属カルコゲナイドのひとつである二硫化レニウム(ReS2)を用いて、光機能性デバイスの新しい動作原理の探索を進めてきた。通常の遷移金属カルコゲナイドではバンド構造が二次元原子層の層数に大きく依存することが知られている。例えば最も研究が活発に進められている二硫化モリブデン(MoS2)では、一層では直接遷移であるが複数層だと間接遷移型のバンド構造に遷移する。これに対しReS2は原子層の層数に依存せず常に直接遷移型のバンド構造を持つという特徴を有する。 この特性を活かして光に敏感に応答するフォトダイオードの開発に取り組んできた。特に原子層の層数が異なるReS2薄膜を並列構造にし、これとSi基板を接合したpnヘテロ界面を形成して光に対する電流量の応答性を調査した。実際には照射する光の波長を変えながら、光電流の繰り返し時間応答性や光強度と光電流量の変換効率を評価した。その結果、応答速度と変換効率を両立するような高い機能性が確認された。構成材料のバンド構造を考慮しながら、電荷の励起から分離、移動など一連のダイナミクスを考察し、この機能性の起源を明らかにした。具体的には主に層数の厚い薄膜領域で光吸収と電荷の生成が促され、層数の異なる薄膜の接合界面で電荷が効率的に分離され、各層で速やかに電荷移動が促進されることがわかった。これらの成果をもとに今後はこの特性のさらなる向上と、メモリ効果と組み合わせた新しい光機能性素子の探索に取り組んでいく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ReS2を中心にした新規フォトダイオードの開発に大きな進捗が得られた。従来は応答速度と変換効率はトレードオフの関係にあり、これら2つの特性を同時に向上させることとは難しいとされてきた。これに対し、ReS2原子層の層数が異なる薄膜を並列にしたフォトダイオードを構築することにより、速度と効率を同時に向上できる道筋を明確にした。この素子は極めてユニークな構造であり新規性も高い。この課題に加えて、光に応答するメモリ動作の探索など新規性の高い研究成果も得られつつある。以上の理由により、当初の計画以上に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はこれまで見出したフォトダイオードのさらなる高機能化とメモリ効果を組み合わせた新しい光機能性素子の探索を進めていく。具体的には層数を精密に制御することによる応答速度の高速化と量子変換効率のさらなる向上を目指す。メモリ効果についてはグラフェンやh-BN原子層などと組み合わせて光に応答するフラッシュメモリ型の記録素子を目指す。既に基本的な作製技術は確立しており、今後は素子動作の実証に注力する。
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Research Products
(3 results)