2017 Fiscal Year Annual Research Report
電荷・スピン間の非線型効果を用いたシリコン中のスピン蓄積観測に関する研究
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17F17362
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白石 誠司 京都大学, 工学研究科, 教授 (30397682)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
RORTAIS FABIEN 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | スピントロニクス / シリコン / 非線形効果 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの研究では半導体中のスピン偏極したキャリアの蓄積(スピン蓄積)は強磁性体を用いて注入・検出されてきた。しかし、強磁性体は実際のLSI技術と相性が悪く、実際の応用上では新たなスピン注入・検出技術が求められる。本研究の目的は電荷とスピン間の非線形な相互作用を利用することで、強磁性体を用いないスピン蓄積の検出方法を開発することである。本研究の目的は電荷とスピン間の非線形な相互作用を利用することで、強磁性体を用いないスピン蓄積の検出方法を開発することである。 上記非線形効果の観測には大きく別けて以下2つの要素が必要となる:つまり、(a) ナノデバイス作製技術と(b) ノイズを低減した微小信号測定系である。初年度の研究として、項目(a)について達成することを目指した。そこで、目標となるデバイス構造を作製する上での問題点を明らかとし、その解決方策を考案した。また、主要技術であるリソグラフィ条件などの最適化を行った。シリコンデバイス作製技術を立ち上げる際にホールバー構造など簡単なデバイス作製を行ったが、それを用いてシリコンチャネル中のスピン軌道相互作用のビスマス不純物添加による変調を弱局在効果の変化から明らかにした。シリコン中でのスピン軌道相互作用を増大させることに成功し、フィッティングより緩和時間等の変化について議論を行った本内容は、シリコンスピントロニクスの発展に貢献し得る。現在論文投稿に向け執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第1年度目の研究計画としてシリコンを用いた電荷―スピンの非線形効果観測に向けたナノデバイス作製技術の立ち上げと設定した。未だデバイスは完成していないが、作製上の種々の問題点を明らかとし、その解決方策を既に得ている。また、その一環としてシリコン中のスピン軌道相互作用の変調をビスマス不純物添加を以って行い、英文学術論文雑誌への投稿に足る実験結果を得ることができた。本格的なデバイス作製の前段階を達成し、論文執筆も進めていることから研究は順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度得られたデバイス作製技術を活かし、電荷―スピンの非線形効果特性の観測用ナノデバイス作製に取り掛かる。未だデバイス構造は最適化前であるため、予測される非線形効果による起電力は微小である。そのため、交流・直流電流源とロックインアンプ装置を組み合わせたノイズを大きく低減できる測定系の構築も同時に進める。信号観測後はシリコンチャネルの不純物濃度を変更することで非線形効果観測の最適な条件を探索する。最後に、当該領域で重要な国内・国際会議に参加し、本年度で得られた結果について議論を交わす。
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Research Products
(2 results)