2017 Fiscal Year Annual Research Report
霊長類の生息地断片化の評価:糞分析からの新たな試み
Project/Area Number |
17F17395
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
松田 一希 中部大学, 創発学術院, 准教授 (90533480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CARRETERO-PINZON XYOMARA 中部大学, 創発学術院, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | ニホンザル / 新世界ザル / 栄養分析 / 糞分析 / 森林分断化 / ホエザル / リスザル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、霊長類の糞の粒度と栄養価のデータから、生息地の攪乱程度を推定する手法を確立することである。多くの霊長類種が絶滅の危機に瀕しており、野生霊長類の生息地の攪乱程度の簡易で迅速な定量化手法の開発が求められている。野生霊長類の糞は、野外でも比較的簡易に収集可能であり、糞粒と栄養価は、そこに住む霊長類の生活を反映する指標となりうることが期待される。よって温帯域に生息し、食物の季節性が明確なニホンザルをモデル生物として、四季の摂取食物の変化にともない、どのように糞の質が変化するかを検討している。また実際に森林破壊の進む熱帯林に生息する新世界ザル(リスザル、ホエザル)の糞分析から、森の攪乱度との相関を検討することも同時に進めている。 今年度は、ニホンザルの糞分析を実施するための調査地の選定ならびに詳細な研究計画をたてた。実際にニホンザルの専門家と打ち合わせをし、調査地を宮城県の金華山島、青森県の下北半島に確定した。我われが当初計画していた金華山島での調査が概ね実行可能であること、またそれに加えて下北半島での追加のサンプリングも実施できることが確定し、予定よりも大規模な研究となったことは大きな成果だといえる。また、ニホンザルの群れの選定、植生情報などを含む調査地の情報収集も行った。同時に、糞サンプルからの粒度推定の実験方法の確認を、過去に集めた糞サンプルを使用して行った。これらニホンザルに関する研究と平行して、南米で集めた糞サンプルの輸出許可の申請なども進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画をしていた通り、調査地の選定、その調査地の情報収集を行うことができた。具体的には、宮城県の金華山島、青森県の下北半島を調査地に選定した。実際に現地で長期調査を実施している研究者とも入念な打ち合わせをし、群れの選定、糞サンプルの採取方法についての確認をした。我われが当初計画していた金華山島での調査が概ね実行可能であること、またそれに加えて下北半島での追加のサンプリングも実施できることが確定し、予定よりも大規模な研究となったことは大きな成果だといえる。また、南米のサルの糞の輸出許可の申請も順調に進んでいる。実際に行う実験についても、予備サンプルを使って確認することができた。以上の理由より、おおむね順調に研究が進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
春、夏、秋、冬のそれぞれの季節において、金華山島、下北半島を訪問し、1週間ほどをかけて分析するための糞を収集する。その際に、実際にサルが食べていた主要食物も、現地の研究者の協力をもとに記録する。糞サンプルの粒度、栄養価を実験室にて分析していく。また、サルが食べていた食物の栄養分析も同時に行う。研究の進捗成果を、学会やシンポジウムなどで報告していくことを予定している。
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