2018 Fiscal Year Annual Research Report
Mite biodiversity and their taxonomy using morphological and molecular-based identifications
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17F17397
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
北嶋 康樹 茨城大学, 農学部, 准教授 (00431651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
NEGM MOHAMED 茨城大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 分類 / ダニ・線虫管理 / 系統関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
ダニ類は体サイズが極小 (成虫でも0.5mm) であり、翅もないため移動力が乏しく、その分布は生息環境に大きく依存すると考えられる。したがって、ダニ相の調査は、その生息域の環境指標として非常に適している。しかし、ダニ類は形態的に酷似する種が多く存在し、それらの識別に用いる形態的特徴は、雄成虫の挿入器の形やサイズ、体毛の数や長さであり、同定には熟練を要する。そのため、研究者レベルの形態による同定分類に加えて、誰でも短時間で簡便に識別できる方法の開発が重要である。本研究では、様々な生息環境に生息するダニ類を網羅的に採集し、形態による分類と分子情報による識別を行うことによって、生息環境ごとのダニ相の多様性を解析するとともに、特に農業上重要と思われる種については、分子情報による簡易なダニの識別法の開発も視野に入れて研究を進めている。 2018年度は、千葉県南房総市周辺の落葉広葉樹林および照葉樹林、ならびに栃木県日光市周辺の落葉針葉樹林、落葉広葉樹林およびイネ科雑草からなる草原で調査を実施した。採集したダニ類は、プレパラート標本を作成するとともに、ミトコンドリアDNAのCOⅠ領域のシーケンスを実施した。 その結果、ケダニ亜目から11種、トゲダニ亜目から5種のダニが発見され、これらのうちの2種は新種であることが明らかとなった(Negm & Gotoh, 2018; Haitlingeret al., 2019)。また、農業上重要な捕食性ダニであり、形態による同定が難しいナガヒシダニ科の近縁2種、ケボソナガヒシダニとキタナガヒシダニが、DNAバーコーディングによって識別できることを明らかにした(Negm & Goth, 2019)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の手法により、2種の新種を発見するとともに、同定困難であったナガヒシダニ科の近縁2種のDNAバーコーディングによる識別法を開発した。これらの成果が、査読付きの国際誌に掲載された(Negm & Gotoh, 2018; Haitlingeret al., 2019; Negm & Goth, 2019)。
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Strategy for Future Research Activity |
2019年度は調査範囲を広げ、北海道から九州に至る数か所から、その地域を特徴づける植物相が形成されている場所を選んでダニ類を採集し、2018年度と同様の手法で同定する予定である。この研究により、日本の植生とダニ類の多様性の一端を明らかにすることができ、またさらなる新種の発見も期待できる。これらの研究手法は、Negm氏が本国でも実行しうるものであることから、今回の成果を踏まえて、将来にわたって共同研究を推進していく契機になると考えられる。
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Research Products
(7 results)