2018 Fiscal Year Annual Research Report
Examination of anatomical structure of wood by computer vision
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17F17402
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉山 淳司 京都大学, 生存圏研究所, 教授 (40183842)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HWANG SUNG-WOOK 京都大学, 生存圏研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 樹種識別 / 人工知能 / 機械学習 / スケール不変特徴変換 / 深層学習 / 顕微鏡画像 |
Outline of Annual Research Achievements |
SIFT特徴量を用いて、クスノキ科の顕微鏡木口面画像を解析したところ、高精度な識別モデルが構築されると同時に、細胞コーナーや空隙など、既存の解剖学とは全く異なる視点が、識別根拠となることが明らかになった。結果をとりまとめて投稿した論文に対して、2018年度Jouranl of Wood Science誌の最優秀論文賞が授与された。さらに、識別の精度や識別の根拠となる解剖学的な特徴を見極める目的で、Googleなどでも実際に用いられているBag-of-Featureモデルの構築を行った。すなわち、全画像から抽出したSIFT特徴量をクラスター分析して、文書に対する辞書の単語に相当する、画像に対するをテキスチャーパッチを構築して解析した。この方法により、各画像の特徴量は、辞書に含まれる特徴的画像パッチの存在比、つまりヒストグラムで表示される。上述の方法は、これまでに木材の顕微鏡画像に対して試みられたことはなく、より精度の良いモデルが期待されると同時に、何を根拠に計算機が判別するかをより詳しく解析することを可能とした。これらの内容は論文にとりまとめ、現在投稿中である。一方、上述のSIFTとの比較をするために、CNN(convolutional neural network)に代表される深層学習を導入した。特に過学習を抑制するためには、画像の質や数を増加するという水増しはあまり効果がなく、木材特有の個体差が問題となる。したがって、特定の樹種においては画像データベースの個体数が不足していることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定した実験は全て順調に進んでおり、先行研究が少ない開拓領域であり、情報学上の先端的なことについては、情報学の専門家(兵庫県立大学 川嶋先生)に指導を仰ぎながら、試行錯誤で進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
クスノキ科について4属39種合計1658枚の光学顕微鏡データベースを作成し、このデータをもとにSIFT特徴量を用いた樹種識別においては、分解能で数マイクロメートル、900x900画素の画像が最も精度の高いモデルを組むことができること、また、それらの特徴量がどこを見ているのか可視化することで明らかにした。一方で、作成したデータベースは、一部の種によっては一個体のデータしかなく、過学習の可能性が否定できないため、5個体以上の木材画像を含んだ種のみの解析を行うか、あるいはサンプル数をさらに増加させる必要があるなど、いくつかの問題点が明らかになってきた。そこで本年度は、以下の3点を並行して行う。 1)クスノキ科樹種サンプルの充実:材鑑室を保有する他の研究機関の協力(特に南京林業大学、中国の遺跡においてはクスノキ科の出土事例が多く、識別自体が重要な意味をもつ)をお願いし、個体数の増加をめざす。 2)5個体以上の木材画像を含んだ種を用いた追実験:SIFT-BOFの結果を、精度のみならずF値により評価し、SIFT特徴量の可視化する解剖学的特徴についてさらに正確な解析を行い論文にとりまとめる。 3)科の異なるデータベース間での比較を検討する:クスノキ科以外にデータが集まりつつある、アサ科、ニレ科、など研究所で作成中の新規データベースを用い、SIFTーBOF法による解析をおこなう。
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