2018 Fiscal Year Annual Research Report
新規光学活性チオラート配位子をもつ金属触媒の開発と不斉還元的アミノ化反応への応用
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17F17415
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
北村 雅人 名古屋大学, 創薬科学研究科, 教授 (50169885)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
MANNA SUDIPTA 名古屋大学, 創薬科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | チオラート錯体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、新しい触媒の探索によって、これまで困難とされてきた、水素分子によるケ トンのカルボニル化合物とのエナン チオ還元的アミノ化反応の確立を目指す。その触媒候補として、チオールないしその共役アニオンであるチオラートを配位子 としてもつ遷移金 属錯体に着目した。SH基の高い酸性度により、カルボニル存在下でのイミノ基の選択的活 性化が可能となるだけでなく、強い金属との親和性により、生成物であるアミンの過剰配 位による触媒の失活の心配もない。具体的には、二つのチオール基をビナフチルに導入したBINAS誘導体、チオナフトール基をもつインデン配位子INDENASを具体的な標的錯体に定め、光学活性配位子の合成、遷移金属錯体形成の検証、α-ケト酸からのアミノ酸合成を標 的反応として反応性調査を進める。本年度では、INDENAS配位子の合成法を検討した。この配位子に前例はなく、新し く合成経路の確立が必要となる。インデニル基2位にメチル基を、1位に2-メルカ プトナフタレン-1-イル基を導入した配位子を標準に設定して、その合成を進めた結果、2-メチルインダノンと2-メルカプトナフタレン-1-ブロマイドから合成する経路を確立した。インデニル基の2位にはメチル基の他にtert-ブチル基も導入できる。光学分割法も確立した。これらの配位子を用いて、還元能力に定評のあるイリジウム、ロジウム、ルテニウム錯体を合成し、その一部において結晶中での分子構造を明らかとすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
標的とする配位子の合成経路を確立した。またその対応する金属錯体の合成にも成功した。おおよそ計画通りに進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、これまでに合成した金属錯体ライブラリーを基盤として、還元的アミノ化反応の検証を進める。標準基質には、非天然アミノ酸であり、エナミドの還元では合成できないフェニルグリシンの合成に焦点をあてて、ベンゾイル蟻酸を基質にして反応スクリーニングを進める。 触媒とともに溶媒、水素圧、添加剤を検証し、条件を最適化する。すでに、ある種の金属錯体において高い収率で反応が進行することを見出している。アルコールや二級アミンの発生もほとんどない。エナンオ選択性も、わずかに発現する。この反応条件を基盤として、反応系の確立を めざす。その後、基質一般性を調査する。具体的には、主として非天然、かつbプロトンをもたないアミノ酸を中心に標的とする。tert-ロイシンやそのほかの芳香族化合物を有する基質を取り上げる。また、反応機構に関する知見を得るために、中間体の追跡、速度論実験を実施したい 。時間の許す限り、単純なケトン類の還元的アミノ化にも挑戦したい。
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Research Products
(13 results)