2018 Fiscal Year Annual Research Report
Asymmetric Synthesis of Supramolecules by Organocatalysis
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17F17416
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川端 猛夫 京都大学, 化学研究所, 教授 (50214680)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHANDA TANMOY 京都大学, 化学研究所, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 超分子 / カテナン / ロタキサン / topological chirality / 不斉合成 / 速度論的分割 |
Outline of Annual Research Achievements |
非対称な軸成分や輪成分から成るカテナンやロタキサンなどの超分子は、超分子特有の不斉構造(topological chirality)を持つ。これらの超分子では輪成分の回転や軸成分の移動により、不斉構造が逐次変化し、超分子キラリティー自体が可動性を持つため、キラル超分子の不斉構築や不斉識別は極めて困難で、有効な不斉合成法は未だ皆無に近い。例えば、高田らによってロタキサン不斉合成の先駆的な試みが報告されているが、最大で4% eeに留まっている(Chem. Lett. 2007, 36, 162-163.)。このような状況下、代表研究者は、分子認識型不斉アシル化触媒を用いるラセミ体ロタキサンの速度論的分割を行い、topological chiralityを持つロタキサンを99% ee、29%収率で得ることに成功した(選択性 s値=16)。この成果に基づき、本研究では超分子の不斉合成法の確率を目指して研究を行なった。まず、topological chiralityを持つカテナンの合成に取り組んだ。これまでに軸成分に水酸基、輪成分にNHNs 基(Ns= SO2-2-NO2-C6H4)を持つラセミ体ロタキサンの不斉アシル化による速度論的分割を行い、上記の成果を得ている。本年度は、この成果に基づき、片方の輪成分に水酸基、もう片方の輪成分にNHNs 基をもつラセミ体カテナンの水酸基の不斉アシルによる速度論的分割を目的に研究を実施した。ラセミ体カテナンはビピリジル構造を持つ輪成分のCuテンプレート法によるプレカテナンの形成ののちに、閉環メタセシス法を用いてその合成に成功した。キラルなカテナンの光学純度決定はキラルカラムを用いるHPLC分析により行うため、まず、ラセミ体カテナンの分析条件を検討し、精度は十分でないものの、分析条件を見つけることができた。精度の高い分析条件をさらに検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
topological chiralityを持つカテナンの不斉合成を目指して、研究に取り組んだ。片方の輪成分に水酸基、もう片方の輪成分にNHNs 基をもつラセミ体カテナンの合成を検討し、ビピリジル構造を持つ輪成分のCuテンプレート法によるプレカテナンの形成、続く閉環メタセシスにより、目的を達成した。また、不斉合成により得られるtopological chiralityを持つカテナンの光学純度決定のため、合成できたラセミ体カテナンのキラルカラムを用いるHPLC分析条件を精査し、精度は十分でないものの、分析条件を見つけることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに合成に成功した軸成分に水酸基、輪成分にNHNs 基を持つラセミ体カテナンを大量合成し、キラルカラムを用いる精度の高いHPLC分析条件を見つける。次にこのラセミ体カテナンの軸成分上にある水酸基の触媒的不斉アシル化による速度論的分割を行い、topological chiralityを持つカテナンの不斉構築を行う。
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