2017 Fiscal Year Annual Research Report
Application of community participation to the historical and cultural landscape
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17F17708
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
木下 勇 千葉大学, 大学院園芸学研究科, 教授 (80251148)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HE LIBO 千葉大学, 園芸学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-04-26 – 2019-03-31
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Keywords | 伝統的町並み / 文化的景観 / 住民参加 / まちづくり / 制度 / 理念 / 文化財 / 登録制度 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は日本で町並み保全、文化的景観の保全活用の全体像とその担い手がどのように継承されてきているのかを探り、中国における町並みや文化的景観の保全への示唆を得ることを目的とした国際共同研究である。具体的に伝統的町並み保全、文化的景観の保全活用に関する既往研究を整理し、類型化とともに先進事例の特徴を明らかにした上で、対象事例地を探り、全体像と事例研究をあわせた上で、①伝統的町並みや文化的景観の保全活用における住民の役割と行政の関係、②行政の役割としての制度・支援事業、③持続可能なまちづくり的展開へのマネジメントの体制またはその課題、について把握した。ケーススタディとしては静岡県静岡市清水区蒲原地区をとりあげ、町並みや文化的景観に関してのアクション・リサーチを展開した。 日本における文化財保護については、文化財保護法による国指定の重要文化財に加えて、都道府県・市町村の指定、また1996年の法改正によって、指定よりも柔軟な登録制度という対応で保全に関わる制度が更新されてきた。これらの法制度も住民の草の根運動と専門家の連携が下地に法改正がなされてきた。運動と制度と理念の三位一体論(丸山真男)があてはある。日本での対象地の蒲原は東海道53(57)次の宿場町であった形態を残す地区であるが、伝統的家屋が次々と消失している。女性たちを中心とした建物の保全活用運動が起こり、いくつかの建物が登録有形文化財となり、自治会の連合組織、100を超える団体の連携のまちづくり組織の活動が活発であり、築150年の伝統的家屋と庭園の保全・活用も登録有形文化財に向けた活動も現在進行形で展開する。 一方、中国においては伝統的町並みや文化的景観の保全に関する関心はここ最近2、3年に高まってきたばかりであり、十分な法制度も出来上がっていない。中国の湖南省のケースでは民間の商業ベースで観光と合わせた展開が目立つ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本における全体像については多くの文献等によって情報収集が可能であったが、中国については制限もあり、未だ全体像は把握しえていない。湖南省における事例調査では多くは商業的開発を背景に意図して、民間(または政府系企業)主導でツーリズムと合わせて展開されている例であるが、海外での展開の情報や専門家の支援で、今日的展開もみられる。国の指定制度だけでは急激な開発によって消失する伝統的町並みや文化的景観の課題に対応できず、日本の登録制度のような柔軟な仕組みも求められる、その登録制度の中国への導入に向けた、運動、制度、理念の三位一体モデルも求められる。
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Strategy for Future Research Activity |
日本における伝統的町並み、文化的景観の保全にかかわる住民運動、制度、理念の三位一体の重きによって類型化を試み、中国における運動(民間の商業的行為も含む)、制度、理念の三位一体の同様の類型化モデルを構築する。具体事例を通して、理念がどのように住民の意識において形成されるか、その過程を把握することから中国においても参考となるモデルのシナリオを形成する。
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Remarks |
旧東海道蒲原宿の築150年の古民家、庭園を町並み、文化的景観の一資源として保全活用する住民参加のとりくみ
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Research Products
(7 results)