2018 Fiscal Year Annual Research Report
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17F17717
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
萩原 理加 京都大学, エネルギー科学研究科, 教授 (30237911)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
CHEN ZHENGFEI 京都大学, エネルギー科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-07-26 – 2020-03-31
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Keywords | イオン液体 / 配位子 / フッ化物イオン / エチレングリコール |
Outline of Annual Research Achievements |
イオン液体は電力貯蔵用の大型蓄電デバイスである二次電池やキャパシタの安全性の向上を目的として、安全性の高い電解質として期待されている。二次電池としてはリチウムイオン電池、ナトリウムイオン電池、アニオンシャトル型電池などへの適用が期待できる。昨年度は、サイズの小さなフッ化物アニオンにエチレングリコールEGを配位させ、錯アニオンとすることにより安定化したアニオン溶媒和型のイオン液体の合成に成功している。これらのイオン液体は四級アルキルアンモニウム臭化物、フッ化銀AgF、EGを定量比でメタノールに溶解、反応させることによりことにより、フッ化物アニオンと臭化物アニオンを交換し、同時にフッ化物アニオンを錯アニオンとして安定化させ、系から臭化銀AgBrを沈殿として分離した上で、メタノールを除去することにより得られる。本年度は四級カチオンとして1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムフルオライドとエチレングリコールとが1:1で安定なイオン液体を与えることをNMRやIRにより確認した。また、前者のイオン液体より2:1の錯塩([C2C1im]F)2・EGを結晶化させ、単結晶構造解析を行い、カチオンおよびエチレングリコールとフッ化物イオンの間の水素結合状態について詳細な解析を行った。これらの化合物は強いフルオロ塩基であり、フッ素化試薬としての応用が可能であることを示した。また、これらのイオン液体のイオン導電率と粘性率を種々の温度で測定し、モル導電率と粘性率の間にワルデン則が成立することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フッ化物アニオンの溶媒和イオン液体について、フッ化物イオンの安定化、液体構造をNMR、IR,X線単結晶構造解析により明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
このイオン液体中で起こっていることが明らかになったプロトン交換反応を重水素置換試薬などを用いた試料を合成してNMRで解析する。水素結合状態について計算科学的な手法による検討を加える。
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Research Products
(3 results)