2017 Fiscal Year Annual Research Report
江戸近代における朱子学の教育的受容-書院文化の新しい解釈を踏まえて
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17F17736
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
周 飛帆 千葉大学, 国際教養学部, 准教授 (80270867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
SU YING 千葉大学, 国際関係学部, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2020-03-31
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Keywords | 江戸時代 / 儒学の受容 / 教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は江戸時代における儒学の受容を中心に、特に寺小屋や藩校などの教育内容に焦点を当てて、先行研究の収集と検討を進めた。特に注目したのは宋朝に作成された「白鹿洞書院掲示」である。本掲示はそれ以降の中国歴代の書院規則の模範であるだけでなく、朝鮮や江戸時代の藩校などの学問・教育の指針ともなったと先行研究では指摘されている(鄧洪波(2005)「走向東洋-移植日本的学院制度」、湖南大学学報(社会科学版)第19卷第2期;柴田篤(2002)『「白鹿洞掲示」と李退渓』,哲学年報3, 九州大学大学院人文科学研究院)。 だが、江戸時代の教育を広く捉える場合、藩校に限らず寺小屋、私塾、郷学についても検討する必要がある。例えば、武士と庶民とは、階級に隔てられていた面があるが、藩士を教育する藩校と庶民教化を目標とする寺子屋とは共通点が存在する指摘もあり(石川謙(1947)『近世庶民教育史』東亜出版社)、また千四五百以上も存在していた私塾は、藩校の教師も寺子屋の教師も共に養成していた。特に文化文政の頃から各藩に士庶共学の郷学が著しく発達してきたところでこのような私塾・郷学が藩校と寺子屋を接近させる一つの媒介者となったことは言える。 本年度はこうした問題意識を元に、「白鹿洞書院掲示」を手かがりに、江戸時代における教育を広くとらえた上に、教育内容、規範及びシステムを中心に朱子学の受容がどのように展開されたかを考察した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
寺子屋、藩校、私塾・郷学に分け、それぞれに見られる「白鹿洞書院掲示」など、書院や儒学の影響を中心に研究を進めている。現在は上記作業的課題における私塾・郷学の受容を中心に鋭意資料を集めているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
現在進めている教育内容における儒学、とりわけ朱子学、書院文化の影響についての研究を継続し、寺小屋、藩校、郷学・私塾におけるそれぞれの特徴と共通点を検討する。またそれらにまつわる「学田」や儀礼・祭祀における中国との関連を含めて考察していく予定。
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