2017 Fiscal Year Annual Research Report
日本と中国における10代学生に対する教養教育の比較研究
Project/Area Number |
17F17752
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
古川 裕 大阪大学, 言語文化研究科(言語社会専攻、日本語・日本文化専攻), 教授 (90219105)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
XU SHUDAN 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 外国人特別研究員
|
Project Period (FY) |
2017-10-13 – 2019-03-31
|
Keywords | 日本 / 中国 / 教養教育 / 日本語の教育 / 中国語の教育 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究「日本と中国における10代学生に対する教養教育の比較研究」は、日々グローバル化が進む21世紀の社会をリードすることとなる国際的な人材を養成するための教養教育のあり方に焦点を当てて、特に「日本における中国語教育」と「中国における日本語教育」の過去と現状を比較対照することで、両者の有する共通性と日本と中国のそれぞれが個別に有する個性的な問題をあぶりだすことを目的としている。また、この目的達成と同時に、日本と中国の両国における将来的な「英語以外の外国語教育」に対して、建設的で有効な提言を行いたいと考えている。 これまでに研究代表者・古川裕は「あなたはなぜ中国語を勉強しているのですか-全国調査に基づく中国語履修者回答分析」王松(関西学院大学国際学部)、砂岡和子(早稲田大学政治経済学術院)との共著、第2著者、(『語学エキスポ2013』予稿集,早稲田大学,2014年3月9日)や「日本の大学生の中国語学習動機づけ」『新しい言語教育観に基づいた複数の外国語教育で使用できる共通言語教育枠の総合研究』(平成23~26年度(2011~2014年度) 日本学術振興会・科学研究費補助金・基盤研究(A)課題番号:23242030)研究成果報告書pp.29-42,王松(関西学院大学国際学部)、砂岡和子(早稲田大学政治経済学術院)との共著、第2著者,2014年12月20日)などの基礎的研究を行っているが、本研究の最初の成果として「基于日語母語者偏誤分析的在日漢語語法教学」(『中国語教育』第16号、2018年3月)を発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
日本中国語教育学会第15回全国大会において「基于日語母語者偏誤分析的在日漢語語法教学」と題する基調報告を中国語で行った。 そこでは、学会参会者に向けて、日本語を母語とする学習者ならではの間違いについて数多くの実例を挙げて紹介し、そのような学習者の間違いや学習上の難点にこそ、従来の研究では十分な注目を集めることがなかった問題点があることをワークショップの場で共有することができた。 また、日本中国語教育学会第15回全国大会で口頭発表した研究成果を学会誌『中国語教育』第16号(2018年3月、中国語教育学会編)に学術論文として公表するに至った。 ただし、昨年度に公開できた研究成果は上記の口頭発表1回と学術論文1本に限られ、まだ十分な研究成果とその発表を行うには至っていない。そのため、研究の進捗状況は、「やや遅れている」と自己判定するものである。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度の本研究は、昨年度に引き続いて、まず日本における中国語教育の現場に対する実状調査を重点的に継続する予定である。その調査対象としては、主として、大阪大学外国語学部中国語専攻での4年間の教育学習カリキュラムと各授業のシラバス、到達目標、クラスサイズ、教材、教員、教育法等の角度から調査と整理を行う。各授業科目のシラバスや教員の氏名、使用教材など大学ホームページに公開されている資料を整理するとともに、教員および学生に対する書面でのアンケート調査や口頭でのインタビュー調査なども行いたい。 また、上の作業と対をなすものとして、中国における日本語教育の過去と現状を調査する予定である。現時点の計画では、2018年5月に杭州師範大学外国語学院日本語学科、6月に西安外国語大学外国語学部日本語学科をそれぞれ訪問し、両大学の教員および受講生との間で意見交流を行う予定である。両大学の日本語学科主任からは既に訪問の許可を得ており、できるかぎり情報の収集に努めたい。 本研究において、日本と中国という「漢字文化圏」の二地域における、英語以外の外国語教育の来し方行く先が最も大きな関心事である。将来的には、韓国やベトナムなどの東アジア全体の「漢字文化圏」も射程に入れた応用的な研究への発展が望まれるところである。そのような研究の深化と発展性を担保するためにも、少なくとも日本と中国における英語以外の外国語教育が将来あるべき理想的な姿について、建設的な提言を学術論文の形で公表したい。
|
Research Products
(7 results)