2017 Fiscal Year Annual Research Report
Atmospheric teleconnections of water and land-use related tipping points in the Earth system
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17F17767
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
谷口 真人 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 教授 (80227222)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
WANG-ERLANDSSON LAN 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2019-03-31
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Keywords | テイッピングポイント / テレコネクション / 水循環 / 土地利用変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、地下水枯渇や砂漠化、森林枯れ、河川の枯渇など水関連のレジームシフトが、土地利用と水との大気のテレコネクションを介してどのように関連しているかを明らかにすることである。具体的には、水循環に関する土地利用変化の影響を評価できる改良型STEAMモデルを用いて、以下の研究課題を明らかにする研究計画を進行中である。1)主要な水関連要素と土地利用変化に関するテイッピングポイントは、地球水循環システムを介してどのように相互にリンクされているか、2)河川流域の復元力は、他の水関連のテイッピングポイントにどのような影響を与えるか、3)流域の復元力に対する地球水循環システムの体系的解明。本研究では特に、陸上の蒸発と大気の水分、特に森林-サバンナの移行、地下水の枯渇、砂漠化に大きな影響を与える可能性のある主要な水と土地利用のレジームシフト要素に焦点を当てる。現在、研究レビューを終え、研究実績の一部として、モデルに関する論文の執筆を進行中である。この投稿論文は、土地利用改変による異なる流域への影響をテレコネクションとして明示することで、水蒸気起源を明らかにするとともに、他流域の土地利用改変が対象流域のテイッピングポイントになるうることを示すものである。またモデルの改良に向けた研究会などを開催し、新規データの構築とモデルの改良などを行なっており、スケールの異なる既存のモデル結果との比較などを行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は、主要な水関連要素と土地利用変化に関するテイッピングポイントが、地球水循環システムを介してどのように相互にリンクされているかを明らかにした。主要な水と土地利用に関連するレジームシフトには、地下水の枯渇、砂漠化、森林枯れ、河川の枯渇などがあり、これらのシステムへの移行は、生態系や人間社会に大きな影響を与える。またこれらのレジームシフトの要素は、地球水循環によって相互に結びついていると考えられる。そこで、地上の土地利用の改変による蒸発の変化が水循環をどのように変え、別の地域の降下降水にどのように影響を及ぼすかを一部明らかにした。具体的には、改良型STEAMモデルにより、対象流域にもたらされる降雨の起源エリアの特定と、流域からの蒸発散が他流域へ与える影響等の評価を通して、大気の遠隔接続を介した、土地利用変化と水関連レジームシフトの評価を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、流域の復元力が、他の水関連のテイッピングポイントにどのような影響を与えるかを明らかにする予定である。具体的には、陸上の蒸発や大気の水分、特に森林 - サバンナの移行、地下水の枯渇、砂漠化に大きな影響を与える可能性のある主要な水と土地利用のレジームシフト要素に焦点を当てる。河川や地下水の枯渇は、生態系、農業・漁業、生計に深刻な変化を引き起こすが、これらが地政学的に与える影響は依然として研究されておらず、本研究により地球システムにおけるリスクを明らかにできる可能性がある。本研究では、流域の復元力に対する地球水循環システムの体系的考察のために、所与の河川流域の内外の土地利用変化の場所に応じて、越境水循環に与える影響を評価することで、地球システムのテイッピングポインにおける土地利用と水との大気テレコネクションを総合的に明らかにする予定である。またこれらの研究成果はGLP/EGUなどの国際学会で発表する予定である。
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