2017 Fiscal Year Annual Research Report
Response and feedback of soil organic carbon emission to reginal climate change
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17F17773
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
梁 乃申 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (50391173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO XIN 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-10-13 – 2020-03-31
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Keywords | チャンバーネットワーク / 森林生態系 / 温暖化操作実験 / 土壌呼吸 / 地温 / 土壌水分 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立環境研究所が開発・推進しているチャンバーネットワークを活用し、北海道の最北端から赤道付近のマレーシアまでの広域トランセクトに沿って、モンスーンアジアの代表的な冷温帯林・温帯林・亜熱帯林及び熱帯多雨林における土壌呼吸の時間・空間的変動に関するオリジナルデータの解析を開始した。本年度は、特に東南アジア熱帯林の解析を進めた。その結果、マレーシア半島部の低地天然熱帯林における年間土壌呼吸量は33.23 mol CO2 m-2 s-1、そのうち微生物呼吸が約66.06%寄与していることが明らかになった。マレーシア熱帯林における地温の変動範囲は年間を通して24.39±0.57°C程度であり、温度は温帯林に比べて土壌呼吸の大きな変動因子にはならないと考えられた。一方で、乾季と雨季があるため、土壌水分(体積含水率は年間を通して24.09±1.23%)は土壌呼吸と密接に関わり合っている。雨季には樹木の生長が活発になるため、土壌呼吸に対して根呼吸の寄与が大きくなる。そのため、樹木の生長が抑制されるため乾季は、逆に微生物呼吸の寄与が大きくなると考えられる。上記研究成果は、国際科学雑誌として取りまとめた。 また、日本の森林生態系における土壌有機炭素分解の温暖化効果に対する地上・地下部リタ-分解の寄与を明らかにするため、つくばの温暖化操作実験サイトにおいてリタ-の分解実験を開始した。 さらに、博士課程の研究成果を国際誌に掲載した。また、学会や国際学会などを通して、研究成果を社会に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
モンスーンアジアの代表的な冷温帯林・温帯林・亜熱帯林及び熱帯多雨林における土壌呼吸の時間・空間的変動に関するオリジナルデータの解析を開始し、研究成果は国際科学雑誌として取りまとめた。また、学会や国際学会などを通して、研究成果を社会に発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
モンスーンアジアの代表的な冷温帯林・温帯林・亜熱帯林及び熱帯多雨林における土壌呼吸の時間的・空間的変動に関するオリジナルデータの解析を継続する。H30年度は、マレーシア半島部の低地天然熱帯林における土壌呼吸の時空間特性、季節変動及び年変動のメカニズムに関する解析を進め、国際科学雑誌へ投稿する。 日本の代表的な森林生態系である新潟県苗場山のブナ林(標高1500m)における土壌呼吸の時間・空間変動の決定要因を解析し、国際科学論文への投稿準備を進める。また、日本の森林生態系と比較するため、H30年10月に台湾のスギ林における現地観測を行い、土壌呼吸の長期変動メカニズムの解析を進める。 さらに、AsiaFlux Workshop(オーストラリア、8月:http://asiaflux.net3)とILTER Annual Meeting(台湾、10月:https://www.ilter.network)などの国際学会を通して、研究成果を社会に発信する。
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