2018 Fiscal Year Annual Research Report
Response and feedback of soil organic carbon emission to reginal climate change
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17F17773
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Research Institution | National Institute for Environmental Studies |
Principal Investigator |
梁 乃申 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 室長 (50391173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ZHAO XIN 国立研究開発法人国立環境研究所, 地球環境研究センター, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-10-13 – 2020-03-31
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Keywords | チャンバーネットワーク / 森林生態系 / 温暖化操作実験 / 土壌呼吸 / 地温 / 土壌水分 |
Outline of Annual Research Achievements |
国立環境研究所が開発・推進しているチャンバーネットワークを活用し、北海道の最北端から赤道付近のマレーシアまでの広域トランセクトに沿って、モンスーンアジアの代表的な冷温帯林・温帯林・亜熱帯林及び熱帯多雨林における土壌呼吸の時間・空間的変動に関するオリジナルデータの解析を行った。平成30年度は、東南アジア熱帯生態系の解析を進めた。その結果、マレーシア半島部にあるパソ(Pasoh)低地熱帯天然林における、年間を通じて地温の変動が少ないため、土壌呼吸および微生物呼吸の温度依存性は明瞭ではなかった。一方、土壌呼吸と微生物呼吸は土壌水分の上昇によって増加する傾向が見られ、根の影響が含まれる土壌呼吸の方が、増加傾向が高かった。この地域は雨季と乾季に気候が明瞭に二分され、雨季に樹木の呼吸活性や土壌分解が促進されているものと考えられた。また、総土壌呼吸に占める根呼吸の割合は34 - 44%であり、東南アジア熱帯多雨林の地下部バイオマスが大きい事が考えられる。一方、観測期間内の土壌呼吸速度の平均値を比較すると、天然林が最も大きく、二次林やオイルパームプランテーション及びゴム園は、天然林に比べてそれぞれ約39.9%、39.8%及び47.5%低い値を示した。本結果は、土壌呼吸の観測から、土地利用変化に関する環境影響評価を行うための重要な足がかかりである。これら撹乱影響の評価は、さらに継続的な観測を行い、長期的な視点から検討する必要があろう。上記研究成果は、国際科学雑誌として取りまとめた。 また、日本の森林生態系における土壌有機炭素分解の温暖化効果に対する地上・地下部リタ-分解の寄与を明らかにするため、リターフォールの回収実験を開始した。 さらに、学会や国際学会などを通して、研究成果を社会に発信した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本の森林生態系に比べるため、実測データを用いた東南アジアの熱帯生態系における土壌呼吸を中心とした炭素循環に及ぼす気候変動や人為攪乱(土地利用変化)などの影響に関するオリジナルデータの解析を進め、研究成果は国際科学雑誌として取りまとめた。また、学会や国際学会などを通して、研究成果を社会に発信した。
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Strategy for Future Research Activity |
2015-2016年度に起こったエルニーニョ現象が東南アジア熱帯林の炭素循環に及ぼす影響に関する定量的解析を行う予定である。
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Research Products
(8 results)