2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17F17809
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
大村 一郎 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 教授 (10510670)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LONGOBARDI GIORGIA 九州工業大学, 大学院生命体工学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2017-11-10 – 2019-03-31
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Keywords | 窒化ガリウム(GaN) |
Outline of Annual Research Achievements |
窒化ガリウム(GaN)パワー半導体は、低損失動作を実現する高い特性を持つため次世代の省エネデバイスとして注目されているが、長期的な信頼性の確保と動作電流の増加が実用化に向けた課題である。 【シミュレーション】上記の課題を解決するため、TCADの物理モデルの調査、文献収集、情報収集を行った。GaNのデバイスシミュレーション環境を立ち上げ、測定予定の素子で発現するゲートリーク現象をTCADで再現することをでリーク現象のモデルを提案した。特にP型ゲートを有するデバイスの信頼性とリークに関するメカニズム分析が進んだ。コラプス現象についても詳細にシミュレーションできる環境が立ち上がり、解析を進めている。 【高電圧実験】GaNパワー半導体特有の電流コラプスと呼ばれる特性劣化現象を観測する実験環境を立ち上げている。高電圧高電流の実験となるため、独自の安全ボックスとフェールセーフの機構を導入し、必要な安全対策等を講じている。まずは低電圧で立ち上げた実験環境が電流コラプスによる電圧の変化をとらえる事ができることを確認した。今後高電圧でも検証を進める。シミュレーションによる半導体物理解析とパワー回路による実験評価を組み合わせた研究を進める環境が整った。 【企業との連携】企業との連携に先立ち、企業と打ち合わせを開始。今後、GaNパワー素子の信頼性研究に関して定期的な打ち合わせと進捗報告を行うことと、企業側から研究資金や情報の提供を受けることに関して調整している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた、シミュレーション環境の立ち上げは完了し、さらにパワーエレクトロニクス高電圧連続運転回路の環境も立ち上がりつつある。通常、コラプス現象は単発のパルスでのみ評価され連続運転での現象を詳細に測定した例はなく、またパワエレ回路での評価と物理モデルとの組み合わせた研究も少ない。今回特徴ある研究環境が立ち上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
進捗状況で述べたように、シミュレーション環境と実用的なパワー回路での連続運転時の電流コラプス測定環境が立ち上がった。今後は、測定条件(電圧、電流、温度、パルス幅)等を変えて連続運転での現象を詳細に測定するとともに、その現象をデバイスシミュレーションと突き合わせて分析する。様々な条件で評価できる実験環境を駆使して、電流コラプスがGaNデバイスの実用的な回路動作に与える影響と、シミュレーションによるメカニズムの分析を進める。
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