2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17GS0205
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
和田 一実 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (30376511)
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Keywords | フォトニクス / シリコン / CMOS / 新原理素子 / ナノ集積 |
Research Abstract |
1.機能統合化素子の実現可能性の明確化 リング共振器の屈折率を電気光学的に変調すること(EO変調)による、変調と波長可変フィルター機能の統合化を当初計画で提案した。Siでは屈折率のEO変調比(Δn/neff)は10-4程度であり、今回の定式化した共振器の黄金律(式(1))より共振波長のシフト比(Δλ/λ)も同様の値をとる。このため、共振器の品質因子(Quality Factor(Q=λ/Δλ))としては、Q〓104を満たす必要がある。具体的には、半径r=2.6-10μmの範囲でQ〓104を実現できることを明らかにした。さらに、mをリング内定在波の波長数とすると、この半径においてQ/m〓103も同時に満足できることを明らかにした(MS-#6を達成)。この条件はPurcell係数に換算すると、約100倍の発光促進が得られることを示す。本研究で取り上げる発光材料であるEr添加Siの欠点である、室温での温度消光を克服できる可能性が明らかにした。 以上は、本提案における最重要課題である機能統合化が原理的に可能であることを初めて定量的に実証したものである。 2.Franz-Keldysh(FK)効果の定量化 EO変調原理として本研究において提案した、GeのFK効果を初めて定量化した。MITにおいてSi上に製作したGe-pin受光器を用い、直接遷移バンド端近傍の吸収係数の印加電界強度依存性を測定・解析した。図2に示すように、14kV/cmと70kV/cmに対する吸収係数は理論的に再現でき、GeにおけるFK効果によるバンドギャップ収縮が生じていることを明らかにした。この結果から求めたFK効果を特長づけるB因子は約2.5となり、FK変調が報告されているIII-V族半導体と同程度となることが分かった(MS-#4を達成)。今後、プラズマ効果をとともに、FK効果をEO変調に活用する計画である。 3.SiGe成長装置の導入と高品質エピの成長 産学連携には大型のSi基板にGeエピ結晶を選択成長し、CMOSラインに供給できる装置が必要である。そこで、超高真空気相成長(UHV-CVD)装置の選定・導入を進め、これまでに4および6インチSi基板への鏡面Geエピ成長条件を確立した。図3にSi上のGeエピ断面の透過電子顕微鏡像を示すように、820℃での熱処理により貫通転位のない試料を製作できることを明らかにした。 4.SiGeダイオードの試作 Si導光路上の特定の領域にGeを選択成長するため、低温Geバッファ成長条件を確立し、Ge-pinダイオードを試作した結果、概ね良好な特性を得た。図4に成長したGeメサの原子間力顕微鏡像および製作したダイオードの電流-電圧特性を示す。表面の平坦性は良く、フッティングによりi-Ge層の逆方向電圧印加時のキャリア生成寿命は約10nsであることが明らかとなった。これはMIT、IntelおよびIBMから報告されている値とほぼ一致し、このSi上のGeエピは受光器としても十分な結晶品質を有していると考えられる。また、逆方向電流値も電気増幅に許容されるリーク電流値、10-6Aを下回った。
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Research Products
(10 results)