2008 Fiscal Year Annual Research Report
光合成電子伝達系のダイナミクス:未知のネットワークの解明
Project/Area Number |
17GS0316
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
鹿内 利治 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 教授 (70273852)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久堀 徹 東京工業大学, 資源化学研究所, 准教授 (40181094)
小林 善親 九州大学, 農学研究院, 教授 (90087594)
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Keywords | サイクリック電子伝達 / 光合成 / 葉緑体 / 光化学系I / NDH / レドックス制御 / 銅 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
高等植物の光化学系Iサイクリック電子伝達は、PGR5タンパク質に依存する経路とNDH複合体に依存する経路からなる。我々は、これらの電子伝達が光合成と葉緑体の光阻害回避の両方に必須であることを示した。残る重要課題は、PGR5経路に関しては電子伝達経路の全貌解明であり、NDH複合体については電子供与体結合部位の同定である。 我々は、PGR5が光化学系Iに結合することを明らかにした。この超複合体においてサイクリック電子伝達が行われると考えられる。アンチマイシンAはPGR5依存のサイクリック電子伝達を特異的に阻害する薬剤であるが、我々は、アンチマイシンAの作用機作を示唆する重要な遺伝学的結果を得た。一方、NDH複合体も光化学系Iと超複合体を作ることを明らかにした。この超複合体のプロテオミクス解析を行い、超複合体を構成するタンパク質の詳細な情報を得た。この結果は、この超複合体内で電子伝達が完結している可能性を示唆している。我々の発見は、光化学系Iがリニア電子伝達に関わるもの、PGR5依存とNDH依存のサイクリック電子伝達にそれぞれ関わるものの三種類からなることを示している。 サイクリック電子伝達の成果に加えて、葉緑体のストロマからルーメンにチラコイド膜を介して還元力を輸送する経路について生化学的な解析を行った。また、シロイヌナズナにおいて銅イオン恒常性維持のマスター因子SPLを同定し、その生理機能を明らかにした。SPL7は、転写因子であり、銅濃度感受の最上流に位置し、様々な低銅濃度ストレスに対する反応を制御する。
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Research Products
(30 results)