2005 Fiscal Year Annual Research Report
ガス分子を介した新しい生体制御機構の学際的アプローチによる解明と医学への応用
Project/Area Number |
17GS0419
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
末松 誠 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00206385)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 正男 東北大学, 多元物質研究所, 教授 (70302239)
曽我 朋義 慶應義塾大学, 環境情報学部, 助教授 (60338217)
平尾 敦 金沢大学, がん研究所, 教授 (90343350)
田中 廣壽 東京大学, 医科学研究所, 助教授 (00171794)
足立 健 慶應義塾大学, 医学部, 専任講師 (50231931)
|
Keywords | 一酸化炭素 / ガスバイオロジー / 酸素センサー / メタボローム / 生体情報工学 / 構造生物学 / 一酸化窒素 / Hypoxia inducible factor |
Research Abstract |
生体高分子の隙間に浸透し、低分子を認識して部位特異的に結合しその機能を調節できるガス分子による生体制御の生物学(Gas Biology)の推進を目指し、ガス分子の生成・受容・分配に関わる標的分子を同定し、これらの分子機能の人為的制御法を確立することにより、幹細胞生物学や病原微生物統御などの基礎医学研究を物理化学、情報工学などとの連携により学際的アポローチで推進することを目的として研究を推進した。CE-MS、CE-TOFMSを駆使した網羅的代謝解析技術の応用により、結核菌がヒトや大腸菌とは異なるクエン酸回路を持ち、α-ketoglutarateが脱水素反応を起こさず脱炭酸反応によりsuccinic semialdehydeを生成する酵素を有することを証明し、この酵素を標的とした感染症統御戦略の可能性を提示した。また神経・血管作動性ガスであるCOの新しい生物作用と標的分子が本年度の研究で明らかにされた。第一に脳微小循環血流の調節ガス分子であるNOの局所の濃度が血管内皮細胞、神経細胞に発現しているCO生成酵素であるheme oxygenase-2により制御され、COがNO synthaseのhemeに結合することにより血管収縮作用を発揮していることを明らかにした。また第二に細胞がCOに暴露されると含硫アミノ酸の代謝変動が起こること、その標的分子がcysteine合成の律速段階を触媒するheme含有酵素であるcystathionine β synthaseであることが明らかにされ、本酵素の遺伝子欠損マウスを用いてCOのストレス応答の消失を検証した。後者は情報・計算機科学の支援により、大量の代謝物定量的解析データのグループ間の比較を視覚的に支援するUser interfaceであるdifferential metabolomics displayが開発・応用されて可能となった。
|
Research Products
(8 results)